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¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥10,000,000 (Direct Cost: ¥10,000,000)
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Research Abstract |
動物の発生,分化過程において数多くの細胞が死ぬべく予定されており,その細胞死はアポトーシス(apoptosis)と呼ばれる機構で進行する。アポトーシスは細胞質,核の凝縮を伴い,また生化学的にはDNAの断片化を伴う過程である。ところでFasはTNF/NGF受容体群に属し,そのアゴニストとして作用する抗体は細胞のアポトーシスを誘導する。このことから,Fasは“Death factor"の受容体と考えられた。本研究はFasの本来のリガンドを同定するとともに,Fasを介したアポトーシスの情報伝達機構の解析を目的とした。まず,Fasの細胞外領域をヒトイムノグロブリンH-鎖と融合したキメラ遺伝子を構築し,動物細胞で発現し,精製した。このキメラタンパク質(mFas‐Fc)を用いて種々の細胞株を検討した結果,細胞障害性T-細胞株(CTL)であるPC60‐d10Sにおいて,Fasリガンドを発現することが認められ,かつそのCTL活性はmFas‐Fcにより阻害された。そこでd10s細胞のFACSを用いたsortingを16回繰り返すことにより,Fasリガンドをd10Sに較べ100倍大量に発現するサブラインd10S16株を樹立した。ついでこの細胞株を大量に培養し,その膜分画よりFasリガンドを分子量約4万の単一タンパク質として精製した。ついでd10S株よりcDNAライブラリーを作製し,発現クローニング法によりFasリガンドcDNAを単離した。そのアミノ酸配列から,FasリガンドはTNFと相同性を持つタイプII膜タンパク質であることが示された。一方,COS細胞を用いて発現させた組み換えFasリガンドはFasに結合し,アポトーシスにより細胞を死滅させた。この結果は,Fasリガンドは“a death factor"でありFasはその受容体であることを示している。また,FasリガンドcDNAを用いたNorthern hybridizationの解析から,Fasリガンドは活性化されたT-リンパ球での発現が認められ,CTLにおけるFasの寄与が明らかとなった。
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