Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高梨 誠 鳥取大学, 工学部, 助手 (70252880)
多々納 裕一 鳥取大学, 工学部, 助教授 (20207038)
野田 茂 鳥取大学, 工学部, 助教授 (80135532)
小林 潔司 鳥取大学, 工学部, 教授 (50115846)
奥山 育英 鳥取大学, 工学部, 教授 (90204156)
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Research Abstract |
事故や急病,火災,犯罪,豪雪,地震など,突発的に発生し生命と財産の安全が脅かされた場合に人々を守る,救急医療,消防,警察,災害救助といった活動を,ここでは緊急安全サービスと呼ぶ.本研究では,まず緊急安全サービスの概念整理を行い,需要発生の希少性,事前予測の困難性,属地性,発生需要への迅速な対応の必要性,といった性質で特徴づけられること,サービスの集合的供給の必要性と利用可能性そのものが住民に効用をもたらすこと等を明らかにした.次いで,救急医療と災害復旧という性格の異なる2つのサービスを例にとり,サービス水準の定量化と提供システムの計画法について検討した. 前者については救急医療サービスへのアクセシビリティーを救命率に基づく評価指標で表し,地点ベースでサービスレベルを算定するためのモデルを開発した.また,持続的なサービス提供の可能性を評価するため,救急医療サービス提供施設の経営成立性を分析するモデルを構築した.ケーススタディでは山間地域におけるサービス提供水準の地域格差が浮き彫りとなったが,高度技術の導入によりある程度までの平準化が可能なこと,救急医療サービスを提供し続ける上で,関係自治体の連携と経費節減が重要であることなども明らかになった.後者については,豪雪により電力供給システムが被災するケースを例に,被災ブロックの重要度を考慮した動的な復旧方策を提案した.ある山間過疎地における電力供給ネットワークを対象にケーススタディを行い,システムの機能的回復率が構造的回復率を上回る結果を得るなど,提案した方法の有用性を確認することができた.今後,サービスシステムを維持するための費用負担や緊急時の対応に関するコミュニティー内部での相互協力を含めたより包括的な議論を展開する必要があるが,本研究ではそのための基礎的なパースペクティブを示すことができたものと考えている.
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