メソポタミア・シリア・エジプトの文明の減衰と環境変動
Project/Area Number |
05203113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Paleological Association of Japan Inc. |
Principal Investigator |
川西 宏幸 財団法人 古代学研究所, 教授 (70132800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 健 国士館大学, イラク古代文化研究所, 助教授 (00103672)
常木 晃 筑波大学, 歴史人類学系, 講師 (70192648)
脇田 重雄 (財)古代オリエント博物館, 研究員 (00175069)
屋形 禎亮 信州大学, 教養部, 教授 (80015388)
岩崎 卓也 東京家政学院大学, 文学部, 教授 (30015383)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 古代文明 / 気候変動 / メソポタミア / シリア / エジプト |
Research Abstract |
平成5年度は、3年間の研究の総括に当てた。そこで、当該地域における文明の転換が期を同じくすることが判明した。それぞれの文明が大いに異質なものを内抱し、独自の展開を示すようにみえながら、いっぽうで転換が期を等しくするということは、その転換の要因が共通であったことを示唆する。転換の画期は、4つある。すなわち、第1の画期は前5000年前後である。シリア方面で大規模農耕村落が解体し、いっぽうメソポタミアでは、初期王朝時代に連なるウバイド文化が抬頭する。第2の画期は前2000年前後にあたる。前3000年をさかいにあいついで形成された青銅器時代国家の文明が変質する。エジプトでは第1中間期、シリアでは青銅時代前・中期の交、メソポタミアではイシン・ラルサ両期の混乱期に当たる。第3の画期は前1000年前後である。ここで青銅器時代国家の文明が崩壊し、エジプト王朝文明も「海の民」の侵入をさかいに衰退する。そうして当該地域において、強大な政治権力を欠いた暗黒時代が2世紀以上にわたって続く。そうして、ヒッタイトの滅亡による鉄生産の広範な普及が、東では強圧的なアッシリア帝国を生み、西方では植民活動に裏づけられたギリシア世界を準備した。第4の画期は、後3世紀である。隆盛、拡大の頂点を極めたローマ帝国が、この期をさかいにして衰退の歩を大きく進める。その影響はエジプトにも及んだ。西アジア方面では、パルチアにかわってササン朝ペルシアが興起し、ペルシア文明はユーラシア大陸のひとつの文明軸として隆盛をみせる。以上述べた4画期について、それらが惹起した共通要因を求めるとすれば、気候変動がひとつの大きな因子として考えられなければならない。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)