生体系金属錯体における特異なスピン系の電子スピン共鳴(EPR)による解析
Project/Area Number |
05209218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀 洋 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (20127294)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | ヘム蛋白質 / 一酸化窒素 / 光解離中間体 / 電子スピン共鳴 / ヘム空間 / スピン相互作用 / 酸化酵素 / シトクロームP450 |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)は電子スピンS=1/2を持ち、それ自身で「EPR活性」で、多くの場合、酸化型ヘム蛋白質にも還元型ヘム蛋白質にも容易に結合する。酸化型ヘム蛋白質は電子スピンS=5/2または1/2を持ち「EPR活性」であるが、NOが配位すると「EPR不活性」となる。両スピン間の強い相互作用を光照射で弱めると、極低温でトラップされた解離NO分子と中心金属間の弱いスピン相互作用による特異なEPR吸収が金属中心の周辺アミノ酸残基の立体構造情報を与える。一方、「EPR不活性」な還元型ヘム蛋白質にNOが結合すると「EPR活性」となり、酸素結合ヘム蛋白質のヘム周辺の構造を知る手掛りを与える。 1.酸化型ヘム蛋白質-NOの光解離中間体分子種のEPR (1)ミオグロビン(Mb)の遠位His(E7)残基を組み換えDNA技術で他のアミノ酸残基に換えた変異体あるいはBrCNによる化学修飾Mbを用いて遠位残基の立体化学的性質がヘム空間の大きさ、配位子の解離・結合反応機構をどの様に制御しているかを明らかにした。 (2)シトクロームP450scc及びP450camに於て、種々の基質・基質類似体を用い、基質結合に伴うヘム空間の構造変化、基質特異性に関する詳細な議論をする事が出来た。立体構造が解明されていないP450sccの基質非存在下のヘム空間は基質非存在下のP450camのヘム空間に較べ立体障害が大きい事が解かった。本研究法は立体構造の不明なヘム蛋白質のヘム空間の構造を探る重要な研究法と言える。 2.還元型ヘム蛋白質-NOのEPR 分子状酸素の還元反応場として働いている大腸菌呼吸錯末端酸化酵素シトクロームbd複合体のシトクロームdに結合している酸素分子を嫌気条件下でNOに置換し、EPR活性化した。その結果、シトクロームdの配位子はCys残基あるいは特異な環境下にあるHis残基であると推定した。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)