Research Abstract |
自己回避酔歩(スピン成分→0)の枚挙(数え上げ)法を東北大計算センターS3900で実行した。そのデータをもとに1/d展開法を行い,普遍的臨界挙動を検討した。特に,表面臨界指数を推定し,スケーリング理論の検証を行った。 1.界面の存在しない場合 自己相互作用を考慮して,d次元超立方格子空間(d=2-6)上のnステップSAW(自己回避酔歩)の総数Cn及び末端間距離Rnをn=11まで求めた。これより,非整数次元も含む任意次元について,自由エネルギーとその振幅,広がりの振幅等の1/d展開を5次項まで求めた。Coherent-Anomaly法を適用し,SAW,θ鎖(θ状態の高分子鎖),NAW(隣接自己回避酔歩)について,γ(磁化率の指数),ν(広がりの指数)を推定し,この方法の有効性を確認した。 2.表面臨界挙動 (1)少なくとも一端が界面上にある場合C^<(1)>_n,R^<(1)>_nをd=2ではn=24,d=3ではn=15まで求めた。まず補正項指数△とその係数Bを推定し,原級数を(1+Bn^<-△>)で割ることにより特異点を消去した。変換級数よりNeville表を利用する外挿法で推定した磁化率指数は,γ_1=0.9465±0.0005(d=2),0.715±0.002(d=3),ν_1=0.7525±0.0015(d=2),0.611±0.003(d=3)である。(2)両端が界面上にある場合C^<(11)>_n(n≦26,d=2),R^<(11)>_n(n≦16,d=3)より,(1)と同様にして,γ_<11>=-0.192±0.008(d=2),-0.39±0.01(d=3),ν_<11>=0.750±0.001(d=2),0.586±0.004(d=3)。 スケーリング関係式2γ_1-γ_<11>=γ+ν (1)及びγ_<11>=ν-1 (2)が提案されている。本推定値より2γ_1-γ_<11>=2.085±0.0009(d=2),1.82±0.04(d=3)。既知の値よりγ+ν=2.093(d=2),1.749(d=3)であるから,(1)式の成立が確認された。それに反して,本推定値は(2)式を支持しない。またν=ν_1=ν_<11>の関係も確認された。
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