水圏における有機金属化合物のスペシエーションと循環に関する研究
Project/Area Number |
05216205
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 正和 京都大学, 化学研究所, 教授 (90027037)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合田 四郎 近畿大学, 理工学部, 教授 (60088416)
宗林 由樹 京都大学, 化学研究所, 助手 (50197000)
木原 壯林 京都大学, 化学研究所, 助教授 (60161543)
|
Project Period (FY) |
1993
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
|
Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | 有機金属化合物 / 有機ヒ素化合物 / スペシエーション / 海水 / 陸水 |
Research Abstract |
本年度は水圏において最も豊富な有機金属化合物のリストを持つヒ素を主対象として研究を進め、以下の成果を収めた。 1 自然水中のヒ素のスペシエーション法の開発 松井らと合田が独立して2つの方法を開発し、これらを水圏試料に適用した。ヒ素の主溶存種は3価、5価の無機ヒ素(As(III),As(V))、モノメチルヒ素(MMA(III),MMA(V))、ジメチルヒ素(DMA(III),DMA(V))、およびフェニルアルソン酸(PhA)であった。2つの方法による結果には若干の相異があり、この点は今後検討する必要がある。 2 琵琶湖水中のヒ素のスペシエーション 北湖におけるヒ素のスペシエーションの季節変動パターンが明らかになった。冬期にはAs(V)が最優先種であったが、春にはAs(III)濃度が増大し優先種となった。夏に向かってAs(III)濃度は減小し、かわってDMA(III+V)が増加した。秋にはそれまで蓄積を続けていたDMAは減少に転じ、少量のMMA(III+V)が現れた。これら有機ヒ素濃度は冬には再び減少した。スペシエーション推移のパターンは南湖においても基本的に同じであった。どのヒ素種も主な栄養塩類やクロロフィル等とあまりよい相関関係は示さなかった。今回のデータは、As(III),MMA,DMA濃度はそれぞれ異なった生物活動過程を反映して変動することを示唆している。 3 高知沿岸海水中のヒ素のスペシエーション 高知県の浦ノ内湾と土佐湾で得た試料の分析を行った。スペシエーションの季節変動パターンは基本的に琵琶湖と同じであることを示唆する結果を得た。海水でもクロロフィルの現存量と有機ヒ素の占める割合との間には直線的な相関関係はなかった。 今後はスペシエーション法の洗練を図りながら、ヒ素のスペシエーション変化がどのような生物過程と結び付いているのかを解明していきたい。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)