Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
本研究は極めて小さい光学位相の変化を超高感度,高安定に計測しうる当研究者独自の方式のループ形ディレイライン干渉計を開発し,重力波検出用干渉計システムの開発にその成果を応用することを目的としている。前年度にテスト用モデル干渉計を構成し,その動作確認を行っており,今年度はこの新しい干渉形の測定感度とその制限要因についての基礎実験を行うとともに,実際の測定システムで生じる問題点の把握とその解決を目指した。実験では光源として2mWのHeNeレーザーを用い,干渉計光路長は6mで光路内の電気光学位相変調器により生じる位相変化を計測した。その結果,完全光路長が同一のはずの右回り左回りの光路長に2nm程度の差が残り,背景光となってショット雑音レベルを押し上げていることが分かった。残留光路差をバイアスとして1次形振動変位を測定したときの測定限界は測定系の電気雑音で制限され,10^<-11>m程度(帯域30Hz,ショットノイズ限界の3桁上)であった。レーザパワーの高出力化と電気増幅器の導入により測定感度は10^<-17>mに向上が可能で,帯域を重力波検出に適当なkHz程度に広げても,10^<-16>m程度と光源の周波数,出力や干渉計に何の安定化を施していないにもかかわらず最高水準に到達する。一方,バイアスが最暗部にあるとして変位検出をした場合はほぼショットノイズ限界に達したが,前述の漏れ光のため10^<-10>m/√<Hz>程度と満足できるものではなかった。残留光の原因は2光波の波面ズレと鏡の横方向時間変動が主なものと予想される。緩和されたとは言え,干渉計の反射鏡の除振,安定化は重要であり,光路長が100kmとなればこの影響はより大きくなる。今後この方面の改良を進めていく予定である。
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