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¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
個体別の形態や組織の物性を考慮したシミュレーションにより,肺呼吸システム全体の特性を表現し,その本質的な力学的構造の解明を試みた結果,以下に示す研究成果を得た. 1.肺呼吸システムを構成する要因レベルから,個体別シミュレーションの核となる力学モデルを構築した.これまでに報告してきた呼吸運動を表す力学モデルに加え,肺循環系に対して,肺動脈/肺静脈血管系の分岐構造,肺胞毛細血管系のネットワーク構造,および血管弾性の個体別特性を考慮した肺循環血流モデルを示した. 2.肺循環モデルと呼吸運動を表す力学モデルとを連成され,種々の呼吸状態を想定したシミュレーションを行い,肺組織や血管の弾性特性などの力学的要因が呼吸機能全体に与える影響を検討した.その結果,肺呼吸によるガス交換機能は,呼吸運動を介した換気機能のみでなく,血流流れの循環器機能にも大きく依存し,呼吸機能を総合的に評価するためには,両者の相互作用を考慮する必要があることを示した. 3.モデルパラメタを個体別に同定し,前項のシミュレーション結果の妥当性を検証するために,家兎肺を用いた実験を行った.まず,肺内ガス圧力を負荷したときの肺循環血流量を測定した.つぎに,同一の摘出肺の圧力-体積関係を測定し,さらに,その組織片の弾性特性を2軸引張り試験により測定した. 4.得られた実験結果を参考に,肺呼吸-肺循環連成モデルに基づくシミュレーションを行った.その結果,圧力-肺体積関係や肺循環系の血流特性など実システム全体の特性が,シミュレーションにより定性的に再現され得ることを確認した.これにより,シミュレーションを通じて,直接的に測定が困難な肺循環内の血管弾性特性や肺胞表面張力特性を推定することが可能となった.
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