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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本研究は、小分子と相互作用し得るクラスター錯体に付与する基本的性質としてた電子酸化還元能をポイントにあげ,そのような機能を持つ錯体の合成を目標の第一とした.これまでにRu錯体では,小分子との相互作用が可能で可逆10電子移動系である一連の系を実現できたが,本年度では,Ru錯体と同様の性質をRuと近隣元素のReやOsで実現し,酸化還元活性錯体に多様性をもたせることをねらった.次のオキソ架橋直線型複核錯体を新しく合成した. [Cl_3(py)_2Os(μ-O)Os(py)_2Cl_2(CH_3COO)](1),[Cl_3(py)_2Os(μ-O)Os(py)_2Cl_2(CH_3COO)]^-(1r) [(CH_3COO)Cl_2(py)_2Os(μ-O)Os(py)_2Cl_2(CH_3COO)](2) [(L)_2ClRe(μ-O)ReCl(L)_2]^<2+>((L)_2=tpa(3);(bpy)_2(4);(phen)_2(5)) (py=pyridine;tpa=tris(pyridylmethyl)amine;bpy=2,2'-bipyridine;phen=1,10-phenanthroline) 得られた錯体のうち,1,1r,2,5についてX線結晶構造解析を行った.これらの錯体中の金属イオンの酸化数はReではIII価,OsではIV価でいずれもd電子を4ヶもつイオンである点が注目される.1rは1の一電子還元体であり見かけ上のOsの酸化数は+3.5で混合原子価錯体である.Re(III)は,強固な金属間4重結合を持つ複核錯体を与えることで有名であり,直接の金属間結合を持たない錯体が安定に得られた点は注目される.この直線型構造はd^4電子配置の金属イオンにかなり一般的なものの様である.なお,Re(IV)のtpa錯体,[Re_2(μ-O)_2(tpa)_2]^<4+>,も合成出来たが,この錯体は金属間3重結合を持っている.Os錯体は2電子の,またRe錯体は3電子以上の可逆な酸化還元系であり,類似の他の金属イオンの錯体に比べても優れた酸化還元系であることが明らかとなった.これらを基本構造として,より多くの電子を出し入れできる系に誘導できる可能性は十分にある.
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