磁場と分子組織体を用いる光誘起電子移動反応の制御に関する研究
Project/Area Number |
05226230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米村 弘明 九州大学, 工学部, 助手 (40220769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 淳 九州大学, 工学部, 助教授 (30136551)
中村 博 北海道大学, 理学部, 教授 (00117194)
松尾 拓 九州大学, 工学部, 教授 (30037725)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 分子組織体 / 貫入型シクロデキストリン錯体 / D-A対 / 磁場効果 / ラジカル対 / スピン緩和機構 / 長距離光誘起電子移動 |
Research Abstract |
分子組織体は均一媒体と異なったミクロ環境を提供できる共に、ドナー(D)とアクセプター(A)の距離と配向を制御できる。そこで、本研究ではD-A対を分子組織体(貫入型シクロデキストリン(CD)錯体)に担持させ、長距離に固定された光生成ラジカル対の挙動に及ぼす磁場効果を検討した。 カルバゾールとビオローゲンをメチレン鎖16でつないだ化合物(1)は水溶液中でalpha-CDが2個メチレン鎖に包接した貫入型CD錯体を形成でき、DとAの距離を長距離(〜20Å)に固定できることがNMR解析によってわかった。1の蛍光寿命(11.3ns)はビオローゲンの無い参照化合物の蛍光寿命(11.8ns)とほとんど変わらなかった。よって、1では励起一重項からの電子移動反応は距離が遠すぎてほとんど起こっていないことが判った。 次に、レーザーフォトリシスを行うと、過渡吸収スペクトルにはカルバゾールカチオンラジカル(Cz^+)とビオローゲンカチオンラジカル(V^+)に帰属される吸収が得られた。V^+の吸収では立ち上がり(〜12mus)とCz^+との分子間再結合を示すなだらかな減衰が観測された。ここで、V^+とCz^+のラジカルの減衰には吸光度の増加を伴う磁場効果が観測された。分子間反応においては磁場効果は観測されないので、この磁場効果は長距離に固定された分子内ラジカル対によるものである事が明らかになった。10mus後の吸光度を磁場強度に対してプロットすると0.3Tまで増加し、それ以上変化しなかった。よって、この磁場効果の機構はメチレン鎖長の短い時と同様なスピン緩和機構と考えられる。 分子組織体を用いて、DとAを長距離(〜20Å)に固定した系の長距離光誘起電子移動に対する磁場効果を検討した。本研究によって長距離においても2つのラジカルはラジカル対を形成していることがわかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)