Project/Area Number |
05226235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
菅野 忠 明治学院大学, 一般教育部, 助教授 (60134657)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 分子磁性 / 有機磁性体 / 磁気秩序 / ミュオンスピン回転 / 電子スピン共鳴 / 有機ラジカル |
Research Abstract |
本年度は、分子間強磁性相互作用を示す有機中性ラジカルの、長距離磁気秩序を零磁場ミュオンスピン回転(muSR)と交流磁化率を手段とし、短距離磁気秩序を電子スピン共鳴(ESR)を手段としてそれぞれ調べた。また、本補助金で購入した核磁気共鳴分光計を用いた水素結合効果の研究のために、水酸基およびカルボキシル基を含むニトロニルニトロキシド誘導体を新たに合成し、SQUID磁力計を用いて磁化率の温度依存性および低温における等温磁化曲線を測定した。(1)分子間強磁性相互作用を示すことが知られている3-キノリルニトロニルニトロキシド(3-QNNN)およびp-ピリジルニトロニルニトロキシド(p-PYNN)において、それぞれ0.21Kおよび0.10K以下で長距離磁気秩序状態に転移することを、muSR-測定により見出した。3-QNNNおよびp-PYNNの飽和内部磁場は、ずべてのスピンが平行に向いているとして計算した内部磁場に比べていずれも小さく、スピンベクトルがすべて平行ではなく互いに傾いた磁気秩序状態を形成していると考えられる。交流磁化率の測定を考慮すると、p-PYNNはスピングラス状態になっている可能性があり、3-QNNNは強磁性および反強磁性挙動が混合した複雑な挙動を示していると考えられる。(2)3-QNNNおよびp-PYNN単結晶のESRを解析した結果、いずれのラジカルでも、常磁性状態においては分子長軸に平行な方向にスピン磁気モーメントの選択的配向方向があることがわかった。(3)新たに合成した有機ラジカルの中で、3-QNNNの構造異性体である2-QNNNにおいて弱い分子間強磁性相互作用を観測した。フランカルボン酸、桂皮酸、フェノキシ酢酸誘導体は、いずれも反強磁性相互作用を示す。安息香酸および桂皮酸誘導体の四ブチルアンモニウム塩は共に磁化率と温度の積が複雑な温度依存性を示した。
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