Project/Area Number |
05227204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
天辰 禎晃 秋田大学, 教育学部, 講師 (90241653)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 非経験的分子軌道計算 / 分子動力学計算 / 電子励起状態 / 溶液内反応 / ヨウ化シアン / ヨウ化イソシアン / ウラシル |
Research Abstract |
凝縮系における光化学反応として、以下述べる2つの具体的なテーマについて検討を行なった。 (1)希ガス中におけるヨウ化シアンの光解離-再結合に関する理論的研究 気相中でのヨウ化シアンの光解離反応のダイナミックスに関して我々の提案したモデルは従来のものとは大きく異なり、多くの質の異なる実験事実に対する理論的解釈を与えた。本研究ではこれをさらに延長し、希ガス(アルゴン)中での光反応が気相中の場合とどのように違うかを検討した。まず、これに必要な分子動力学計算のプログラムの作成をし、さらに相互作用ポテンシャル関数を非経験的分子軌道法により求めた。これらを用いてシミュレーションを行なったところ、希ガス中では、ヨウ化シアンの解離は起こらず、光励起によってヨウ化シアンが得た余剰エネルギーを散逸する過程において、一部がヨウ化イソシアンに異性化することが分かった。ヨウ化イソシアンについて電子状態の計算を行なったところ、安定な化合物として存在すること、この化合物の特性として、N-Cの伸縮振動の赤外線吸収強度がヨウ化シアンのC-Nのそれに比べ、30倍近くも強いことが分かった。 (2)核酸塩基の電子励起状態に関する研究 核酸塩基のうち最も単純なウラシル塩基について最小基底関数を用いて、SECIを行なった。ウラシルは分子内にケト-エノール互変異性を行なう部分を2つ持っている(基底状態出は両方ともケト型が安定)が、この互変異性化の反応経路は2つの互変異性化が協奏的に行なわれる経路のみがかなり低いことが分かった。これはウラシルと塩基対となるアデニンとの水素結合系の不安定化にも影響を及ぼす可能性がある。大きな基底関数を用いて、大規模なCI計算を行なうことによりこの点を確認する必要があると思われる。
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