Project/Area Number |
05231214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 豊 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90192468)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | 固液密度逆転 / マントル組成 / 臨界部分溶融度 / 硬いマグマオーシャン / 柔らかいマグマオーシャン / 化学分化 / 原始地殻の形成 / 鉄マグネシウム比 |
Research Abstract |
本研究はマグマオーシャン進化のダイナミクスの解明を通してその地質学的・地球化学的検証の道をひらくことを目指したものである。(1)マグマオーシャンは部分溶融度で「柔らかいマグマオーシャン」と「硬いマグマオーシャン」に分類できるが、冷却速度の検討から硬いマグマオーシャン状態は数憶年間持続することを推定した。これは古い地殻岩石にマグマオーシャンの痕跡が残る可能性を示唆する。(2)高圧下で共存する固液の密度逆転がマグマオーシャン進化に及ぼす影響を検討した。密度逆転発生の原因を、a.固液の圧縮率の違い、b.液相に鉄が濃縮し易いこと、に分類し、前者を絶対的密度逆転(または圧縮による密度逆転)、後者を条件付密度逆転(または化学的密度逆転)と呼んで区別した。絶対的密度逆転は対流・固液分離ともに熱を下向きに運ぶので、マグマオーシャン深部の冷却を阻害し、マグマオーシャン中に強い超断熱温度勾配が実現する。これはマグマオーシャン冷却の最末期に大規模なオーバーターンを起こして解消するはずである。また、条件付密度逆転の場合は対流は常に上向きに熱を運ぶので、固液分離で安定な化学的成層構造が作られない限り、マグマオーシャンは順調に冷却し、マグマオーシャン上部は冷却に伴ってちょうど密度逆転が起こらない組成に保たれるように進化する。この場合、マグマオーシャン消滅直後の上部マントルの鉄マグネシウム比は現在のマントルのそれと同じくらいか、ややマグネシウムよりになることが期待される。これらの結果は従来推定されていた密度逆転が成層構造形成に及ぼす影響とはかなり異なっている、これは従来の検討では対流の影響が充分に考慮されていなかったためである。(4)今後、3成分から5成分系のマグマオーシャン熱・物質輸送・進化モデルを用いて、原始地殻の実体とその進化の検討、マントル層構造の予想の確認が必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)