ファンデアワールス・エピタキシー法によるフラーレン超薄膜の作製とその物性の解明
Project/Area Number |
05233208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小間 篤 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00010950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 啓司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40223482)
多田 博一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40216974)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | ファンデアワールス・エピタキシー / フラーレン超薄膜 / エピタキシャル成長 / デンドライト構造 / 原子間力顕微鏡 / 高分解能電子エネルギー損失分光 |
Research Abstract |
本研究はファンデアワールス基板表面におけるフラーレンエピタキシャル薄膜の成長機構と物性の解明を目的としている。MoS_2基板上にエピタキシャル成長した膜厚1分子層程度のC_<60>及びC_<70>薄膜の表面形態を原子間力顕微鏡を用いて観察した結果、薄膜の成長機構が1分子層ごとの層状成長であることを確認した。ある特定の成長条件下では成膜1層目の成長形態が基板結晶軸方向に配向を揃えた6回対称性を持つ樹枝状であることを発見した。1つのドメインの直径はおよそ30μ程度であり、現在までに報告されている他の基板上でのフラーレン薄膜のドメインサイズよりも10倍ほど大きなものである。この1層目のテラス上に成長する2層目以降のドメイン形態は1層目とは異なり、直径1〜2μ程度の三角形の晶癖を持つ。この成長形態はフラーレンバルク結晶のものに近いと考えられる。このように成長形態が1層目と2層目以降で異なるのは、各層を形成する際のフラーレン分子の拡散の大きさが異なるからであり、本研究の結果からMoS_2基板表面上の分子の拡散がバルク結晶上の値よりも大きいことが示された。実際、MoS_2をはじめとする各種ファンデアワールス基板表面上には他の基板を用いた場合よりも結晶性の高いフラーレンエピタキシャル膜の成長が確認されており、その原因としてファンデアワールス基板表面における分子の大きな拡散が原因となっていることが予想される。また、こうして得られたエピタキシャル薄膜の表面を高分解能電子エネルギー損失分光法を用いて観察した結果、C_<60>薄膜のスペクトルでは、C_<60>分子の赤外活性モードに由来するピークが強い双極子散乱ピークとして観測された。この結果はエピタキシャル薄膜表面の平坦性の高さを実証している。C_<70>エピタキシャル膜に関しても、鏡面反射条件において赤外スペクトルと対応するスペクトルが得られ、来年度の研究においては薄膜中の分子の振動状態についてさらに詳細な情報が得られることが期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)