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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
本研究ではフラーレン類の特異的な化学反応性に注目し,フラーレン炭素との選択的な炭素-炭素結合生成反応による種々の有機フラーレン誘導体の合成法を見いだすと共に,有機フラーレン誘導体の官能基での選択的な化学変換の手法の開発を行なった.さらに,得られた有機フラーレン誘導体が生理活性などの新しい性質を持つことについても明らかにした. 1.フラーレンの化学変換法の開発 C_<60>オレフィンの求電子的な性質に着目し,求核的な反応試剤との付加環化反応によるC_<60>の化学変換法について検討を行なった.すなわち,トリメチレンメタン活性種やジメチレンケテンアセタールとの[3+2],あるいは[2+2]付加環化反応がフラーレンの化学修飾法として有効であることを明らかにした. さらに,上記反応で得られたフラーレン誘導体の有機官能基に着目し,C_<60>誘導体の官能基での選択的な化学変換の検討を系統的に行ない,弱い塩基性から強い酸性条件下でフラーレン部位を損なうことなく様々な化学変換が選択的に行なえることを見いだした. 2.有機フラーレン誘導体の生理活性 上記手法を用い,カルボン酸残基を持ち水中でエマルジョンを形成するフラーレン誘導体を合成したところ,この化合物が光の存在下においてのみ種々の生理活性を持つことを明らかにした.すなわち,この化合物は暗所では全く活性を示さなかったのに対し,蛍光燈程度の光照射下において,細胞の成長阻害活性やDNAの切断活性,さらに酵素の活性阻害活性などの幅広い生理活性を示した.また,これらの生理活性の真の活性種が一重項酸素である可能性が高いことを明らかにした.
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