Project/Area Number |
05233216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
相原 惇一 静岡大学, 理学部, 教授 (40001838)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | フラーレン / カーボンナノチューブ / グラファイト / 芳香族性 / ベンゼノイドトーラス |
Research Abstract |
1.C_<60>までの一連のフラーレン分子とその分子イオンのトポロジー的共鳴エネルギー(TRE)を計算し、それらの芳香族性を見積った。それぞれの大きさの炭素クラスターに対して最安定フラーレン異性体を採用すると、芳香族性はほぼ分子の大きさとともに増大し、C_<60>で最大になる。C_<60>は中程度の芳香族性をもつ。これらの結果は、これまでに報告されたフラーレンの性質と矛盾しない。フラーレンの分子イオンについてみると、多価陰イオンは一般に比較的大きな芳香族性を示すが、多価陽イオンになると芳香族性は著しく減少し、芳香族フラーレンでも反芳香族的になることがわかった。C_<60>の典型的な誘導体の芳香族性もC_<60>とほぼ同程度である。 2.細矢治夫氏(お茶大理)が提案したベンゼノイドトーラスは、仮想的な構造ながらグラファイトと同じく6員環のみからなり、すべての炭素原子は等価である。このことに着目して、ドデカベンゾコロネントーラスに対する参照ポリエン構造のπ電子エネルギーを求め、それを基準にして、無限大の共役系をもつグラファイトとカーボンナノチューブの芳香族性の程度を推定した。グラファイトはベンゼンなみに大きな芳香族性をもつと考えられる。一方、カーボンナノチューブには金属的なものと半導体的なものがあるが、どちらの場合も芳香族性は大きく、グラファイトとほぼ同程度であることがわかった。一般にカーボンナノチューブは多層構造をなすが、層と層の間は密に詰まっている。このことは、どのような半径のカーボンナノチューブも同程度の芳香族性をもつことと密接に関係している。
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