フラーレン薄膜の光学非線形性とフェムト秒緩和過程の研究
Project/Area Number |
05233218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 新男 名古屋大学, 工学部, 教授 (50159068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時崎 高志 名古屋大学, 工学部, 助手 (20207541)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 3次非線形感受率 / 縮退4光波混合 / フェムト秒分光 / 電荷移動励起子 / 自己捕獲過程 |
Research Abstract |
本研究は、C_<60>、C_<70>薄膜の光学非線形性とその超高速応答性をフェムト秒非線形レーザー分光によって明らかにすることを目的として行われた。(1)広帯域縮退4光波混合測定装置の整備:今年度は、先ず、広い波長領域で非線形感受率を測定するために、QスイッチYAGレーザー励起のパルスチタンサファイアレーザーを購入し、その調整を行った。その結果、基本波の波長領域としては、700〜950nm、その第2高調波領域として360〜470nmのナノ秒パルス光(パルス幅:5ns)を得ることができた。(2)C_<60>薄膜の3次非線形感受率χ^<(3)>の測定: 液体窒素温度におけるχ^<(3)>を2〜3eVの範囲で測定したところ、χ^<(3)>の値は薄膜試料に特有な吸収帯(2.4〜2.8eV)で共鳴的に増大することがわかった。吸収ピークにおけるχ^<(3)>の最大値は〜1x10^<-5>esuであった。この吸収帯は、フェムト秒の緩和ダイナミクスの考察及び那須らの計算により、C_<60>分子間の電荷移動励起子に基づくと考えられるが、このような大きな非線形性は、電荷移動励起子が大きな分極をもつことに対応している。(3)フェムト秒ポンプ・プローブ分光の研究: 紫外光領域のポンプ光(波長305nm、パルス幅200fs)を用いて、C_<60>分子(トルエン溶液)及び結晶の高い励起状態の励起を行い、励起状態の緩和ダイナミクスを調べた。溶液中の分子では、励起状態の寿命は100ps以上であり、2nsでは三重項状態が十分に生成される。即ち、一重項の励起状態は三重項状態に緩和し、それを経由して基底状態に戻ることがわかった。一方、結晶では、全く異なる緩和挙動を示し、約1psで第1段階の緩和が起こり、続いて100ps以上の遅い緩和過程が存在する。この速い緩和過程は、電荷移動励起子が格子との強い相互作用によって分子間距離を変位させて安定化する、いわゆる自己捕獲励起子を形成することに起因するを、フラーレン結晶としては初めて明らかにした。今後C_<70>へ同様の研究を拡張して行く予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
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