Project/Area Number |
05236211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大野 弘幸 東京農工大学, 工学部, 助教授 (00176968)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | イオン伝導 / 金属イオン / 認識 / 高分子 / クラウンエーテル / ポリエチレンオキシド / 溶解度 |
Research Abstract |
金属イオンを認識し、それを移動速度に反映できる系としてイオン伝導性高分子に着目し、金属イオン認識能を持つ高分子溶媒の設計を目的として、主に高分子とイオンの相互認識を2つの系で評価した結果を報告する。 まず、各種クラウンエーテル環を主鎖上に有する高分子を合成し、これにアルカリ金属塩を溶解させ、複素インピーダンス測定から交流イオン伝導度を算出した。金属イオンの認識を正確にイオン伝導度に反映させる目的で、クラウン環上下からヒドロキシルによる作用が期待できる単位構造を持つクラウンエーテル高分子を合成した。さらに、アニオン席を高分子鎖上に固定し、アニオンの移動を抑止し、カチオンのみを供出できる高分子イオン伝導体を合成し、クラウンエーテル高分子と混合した。この系で、クラウン環のキャビティサイズに対応するアルカリ金属イオンの移動抑制が明確に認められた。クラウン環のキャビティが対象とするカチオンよりも大きい場合は、協同的な捕捉能は働かず、むしろ極性環境として塩解離を促進する効果があることも見いだされた。次に、ポリエチレンオキシド(PEO)に代表されるポリエーテルオリゴマー(PO)に溶解させた無機塩は、加熱すると結晶として析出する特性を詳細に検討した。まず、昇温により析出する塩は比較的高い格子エネルギーを持っている一群であることを明らかにした。また、加熱により析出する塩 の格子エネルギーの下限は、カチオン半径の関数であることを明らかにした。ポリプロピレンオキシド(PPO)を利用すれば、結晶が析出する塩の格子エネルギーの臨界値をシフトさせることも可能であった。この現象が溶媒の高分子性に起因するならば、塩の溶解度の温度依存性が負となるPOの臨界鎖長の下限が存在するはずである。一連のPOを用いて無機塩の溶解度を検討したところ、臨界鎖長の下限が認められ、しかもカチオン半径に伴い増大した。さらに、POの中で複数の塩を混合させた系では、カチオンとアニオンの考え得る組み合わせの中で、最も格子エネルギーの大きな塩が析出してくることも明らかになった。
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