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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
大気環境化学でフリーラジカルの関与する気相の化学反応は非常に重要な役割を果たしている.しかしながら現在の段階では,大気環境における個々の化学反応に関する充分なデータが得られていない.そこで本研究では,新しい実験的手法および反応解析法を用いてフリーラジカルの関与する大気化学反応を解明することを目的としている.真空紫外域の波長可変レーザー分光法や共鳴多光子イオン化分光法を用いることにより,大気化学反応に関与していたがこれまで検出が不可能であった原子やフリーラジカルの検出や状態解析を行う.平成5年度には,成層圏で最も重要な活性種であるO(^1D,^3P)の生成および反応過程を中心に研究を行った.オゾンO_3を248nmで光分解したときに生じるO(^1D)とHClやCl_2との反応で生成するHおよびCl原子を真空紫外レーザー誘起蛍光法を用いることにより高感度で検出し,反応のダイナミクスを調べた.O(^1D)とHClの反応では二つの反応過程があり,一つはOH+Clでもう一つはOCl+Hである.この反応分岐比を正確に求めた.生成するClおよびH原子の並進エネルギーを測定し,反応余剰エネルギーがどのような割合でそれぞれの自由度に分配されるかを測定した.さらに,O(^1D)と炭化水素およびアルコールとの反応過程を調べた.また,成層圏でオゾン分子の光分解で生成するO(^1D)原子の最も重要な消失過程である窒素分子へのエネルギー移動反応を新しい観点から研究した.すなわち,素反応過程として,一回衝突で受け渡される並進および電子エネルギーの量や生成するO(^3P_j)の微細構造分布等を計測した.さらに,オゾン分子の紫外・可視波長域での光分解で生成する酸素原子O(^3P_j)の並進エネルギーや微細構造分布および角度分布を,真空紫外レーザー誘起蛍光法にて計測した.H_2O_2分子の光分解過程で生成するH原子の検出を行い,光分解ダイナミクスを研究した.このように,大気環境で重要な役割を果たす活性種の化学反応や光分解過程について研究成果を上げることができた.
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