分子シミュレーションによる会合性液体の蒸発凝縮の解明
Project/Area Number |
05239105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 充弘 名古屋大学, 工学部, 講師 (10229578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 洋右 法政大学, 工学部, 助教授 (30025407)
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Project Period (FY) |
1993 – 1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 分子シミュレーション / 蒸発凝縮 / 液体表面 / 化学反応理論 / 分子動力学 |
Research Abstract |
本研究では分子シミュレーションにより気液界面のダイナミクスを追跡し、物質による蒸発凝縮挙動の差異を解明し、界面を通しての物質の相間輸送に現れる分子の個性を明らかにすることを目的として、アルゴン(単純液体)およびメタノール(会合性液体)を対象とした研究から以下の知見を得た。 1.アルゴン(80K)およびメタノール(300K)について、液体膜の分子動力学シミュレーションを行った。得られた分子の軌跡から、液面に衝突する気相分子のうちある程度の割合で反射されるものが見いだせ、定量的解析の結果、アルゴン・メタノール共に自己凝縮率は90%程度となった。従来の解釈では、これはアルゴン・メタノール共に凝縮係数が0.9程度であることになり、多くの実験結果と矛盾する。 2.他方、凝縮と蒸発が強い相関を持つようなケースが見られたため、この相関をmemory functionを用いて評価する方法を考案した。得られた凝縮係数は、最近の実験結果と非常によい一致を示した。その差は、凝縮分子が他の液体分子を追い出す分子交換によるもので、従来の凝縮のモデルではほとんど想定されていなかった現象である。 3.より高温(アルゴン100K、メタノール350K)のシミュレーションも行ったが、この温度範囲では蒸発凝縮挙動の顕著な温度依存性はないことがわかった。 4.会合性液体は表面でエネルギー障壁ができるため凝縮係数が小さいとする遷移状態理論を検証するため、粒子挿入法を用いて表面付近の化学ポテンシャルを計算した結果、アルゴン・メタノール共に、化学ポテンャルはバルク相・表面近傍を問わず一定であることが分かり、単分子過程としてみる限り凝縮は無障壁過程であることが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)