時間分解ラウエ法と計算機実験に基づく蛋白質の動的構造解析
Project/Area Number |
05244203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平田 文男 京都大学, 理学部, 助教授 (90218785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郷 信広 京都大学, 理学部, 教授 (50011549)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | BPTI / 分子動力学 / 溶媒の影響 / 蛋白質の動的構造 / 主成分分析 / 協調的運動 / ランジェヴァンモード / 過減衰 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ラウエ法より得られる蛋白質の瞬時構造を基準振動解析および分子動力学法に基づき解析しその動的構造に関する知見を得ることにあるが、当面、分子動力学より得られる蛋白質の瞬時構造モデルを使い、解析の方法論を開拓している。特に、これまでの研究より蛋白質の動的構造を明らかにするためには溶媒の影響を解析することが不可欠であるという認識を得ており、本研究では分子動力学の方法によりBPTIの構造転移に対する溶媒の影響を解析した。 [方法]真空中および水中(水分子数:2484個)のBPTIに対して分子動力学を実行しそれぞれ100ピコ秒のトラジェクトリを求め主成分分析およびランジェヴァンモードの方法により解析した。水のモデルとしてはSPC(単純点電荷モデル)、BPTIのモデルとしてはOPLSモデル(水素原子を露に取り扱わず炭素原子の一部とみなす)を用いた。主成分分析の方法は蛋白質の原子座標からなる多次元配位空間内に蛋白質の構造揺らぎの大きさに基づいて直交座標系(主軸)を定義し、この主軸に射影された蛋白質の揺らぎを観測しようとするものである。これにより蛋白質の大きな揺らぎを決定している協調的な運動とそれに対する溶媒の影響を効果的に調べることができる。 [主な結果]水中の蛋白質のトラジェクトリを最初の二つの主成分主軸で張られた2次元空間に射影した結果、あたかも多くのポテンシャル極小間を活性化飛躍的に移動しているような描像が得られた。このような動きは真空中では観測されなかったものであり、溶質-溶媒間相互作用により多くの新たな極小がポテンシャル曲面に生じたためである。さらに、この運動の速度相関関数を解析してみると強い過減衰の特徴が見られた。その粘性抵抗係数をランジェヴァンモードの方法により求めたところモードの全領域にわたって47cm^<-1>付近の値をもつことがわかった。また、速度相関関数より得られたスペクトルを中性子散乱の結果と比較した結果を良い一致を示した。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)