アクトミオシン単体複合体の調製、結晶化の試みとX線回折学的研究
Project/Area Number |
05244208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
若林 克三 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (00029521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒田 敏昭 大阪大学, 理学部, 助手 (70151165)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | アクチンモノマー / 非重合アクチン / ミオシンヘッド / アクトミオシン / X線小角散乱 / 結晶化 |
Research Abstract |
我々は筋収縮のエネルギー変換を分子構造に立脚して理解するためにエネルギー変換の最小単位であるアクチンとミオシン頭部の単量体コンプレックスを調製し、その結晶化を試みる前に溶液中での性質と構造を電子顕微鏡とX線溶液散乱によって調べた。 (1)重合しないアクチンモノマーの調製。ミオシン頭部はフィラメント上のアクチン分子とは結合できるがモノマーのアクチンには結合しない。そこでアクチンモノマーと1:1の複合体を作成するにはアクチンを重合できないようにしなくてはならない。そのために、我々は化学架橋剤マレイミドベンゼン酸エステル(MBS)で処理し、重合能が極めて阻害されたアクチンモノマーを調製した。このMBSはアクチンモノマーのフィラメント形成に関与するアミノ酸残基が集中するサブドメインIIの部分に結合する。このMBS処理アクチンモノマーの溶液構造をX線溶液散乱法によって調べ、未処理のアクチンモノマーとの比較した。その結果、分子の形態を表す慣性半径、分子コード長、分子間相互作用を示す慣性半径の濃度依在性など両者でほぼ同じであった。一方、結晶解析されたアクチン分子とは慣性半径やコード長は少し大きかった。これは結晶構造がD NaseIとの複合体でなされ、D NaseIとの結合で少しコンパクトになるような変形を受けているように思われる。このように、MBS処理アクチンは未処理アクチンと溶液構造は同じであることがわかった。 (2)MBSアクチンとミオシン頭部複合体の調製。MBSは2価性の架橋剤であるのでもう一方の基をミオシン頭部に架橋させることで1:1の複合体を形成させることに成功した。これを電子顕微鏡によって観察すると未架橋のものの混在が認められ、両者の分離を現在行っている。電子顕微鏡観察では、ATPによりアクチン結合部位がミオシン頭部上で約1nm変位することを示唆する結果が得られている。この複合体を分離精製し、X線溶液散乱で電顕での観測結果が事実かどうか調べている。 (3)他の試薬による調製。アクチンサブドメインIIのチロシン53をジアゾニユムテトラゾル(DHT)で化学修飾した。その結果、ファロイジンを作用させても全く重合しないアクチンモノマーが調製できた。このDHT処理アクチンはミオシン頭部と1:1に結合した。さらにEDCなどでゼロ長架橋ができればMBS処理アクチン複合体より安定なものができると思われる。 以上、現在のところこれらアクトミオシン単量体複合体の結晶化には至っていないが、これらの試料をX線溶液散乱で検討した段階で結晶化を行えるよう純度を上げることを考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)