Project/Area Number |
05245215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ashiya University |
Principal Investigator |
小塩 高文 芦屋大学, :教育学部, 教授 (20046676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛谷 亨 芦屋大学, 教育学部, 助手
江原 襄 イオン工学研究所第3プロジェクト研究室, 室長
酒井 義之 芦屋大学, 教育学部, 教授 (50187001)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | STM / STS / 遷移金属酸化物 / 個々の活性原子 / トンネル物性 / 分子吸着反応 / 酸素脱離 / バナジール酸素 |
Research Abstract |
《はじめに》V_2O_5(010)表面においてバナジウムイオン上端にある2重結合性の酸素(バナジール酸素)および、バナジール酸素の脱離した後のバナジウムイオンは触媒および酸化還元反応の活性サイトとして重要な役割を演ずる。本研究はSTMによりV_2O_5表面原子配列構造の実空間測定を行いSTSにより個々の活性原子サイトのトンネル物性の違いを調べダングリングボンドを有する活性バナジウムイオンや表面バナジール酸素の電子状態を明らかしさらに酸素分子吸着反応の観測を行ったものである。これらは表面ガス分子吸着反応のメカニズム解明のため重要な知見となりまた表面活性サイトの評価にSTMおよびSTSが極て有効であると考える。 《結果のまとめ》 1.V_2O_5表面のSTM観測 酸素欠陥のないV_2O_5は絶縁物に近くそのままSTM測定を行っても原子像は得られない。超高真空中で数百度に加熱しV_2O_5に積極的に酸素欠陥を導入することでn型半導体となる。導電率は加熱温度と時間で酸素欠陥量を調節し変化できる。加熱温度45℃で表面バナジール酸素が部分脱離し550℃で全面脱離する。バナジール酸素の脱離は結晶学的な“C"軸方向に沿って起こることが分かった。 V_2O_5表面のSTS観測 部分脱離したV_2O_5表面のCITS像はサンプル電圧をV_S<-2Vとしたときバナジール酸素を示し、V_3〜0.5Vではバナジウムイオンの脱離した後のバナジウムイオンにおけるダングリングボンド像を示し、V_S〜2Vでは元から表面に露出していたバナジウムイオン像を示すことが表面電子状態の解析から分かる。とくにバナジール酸素の脱離シたバナジウムイオンのダングリングボンドにはフェルミレベル下占有軌道側に弱くトラップされた電子が存在していることを示している。すなはちバナジウムイオンのイオン原子価がV^<5+>からV^<4+>へと変化する。この価電子は表面酸化還元反応で重要な役割を行うと考えられており、本研究により原子価の変化の実空間原子レベルでの観測に成功した。 3.酸素分子の吸着 10^<-8>Torrの酸素ガスを10秒間曝露し表面吸着を行った。酸素は“C"軸方向に沿った吸着が見られるが、サンプル電圧の極性を±2Vに変化させて同時測定を行ったところ吸着酸素の場所で同様の像が得られるものがあった。これは表面に酸素が0^<-1>となって吸着し酸素の非占有軌道の状態密度の増加が原因と考えられる。
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