細胞複製を制御する細胞内シグナル伝達系と遺伝子発現の制御機構
Project/Area Number |
05249211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
貝淵 弘三 神戸大学, 医学部, 助教授 (00169377)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 低分子量GTP結合蛋白質 / c-fos遺伝子 / REKS / MAPキナーゼ・キナーゼ / MAPキナーゼ / TCF |
Research Abstract |
低分子量GTP結合蛋白質Rasが、種々の細胞増殖因子の細胞内情報伝達系の構成因子としてc-fosなどの遺伝子の発現の制御に重要な役割を果していることが明らかになりつつある。RasにはGTP結合型の活性型とGDP結合型の不活性型があり、GTP結合型がその標的蛋白質に作用すると考えられている。また、種々の細胞増殖因子がRasのGDP結合型からGTP結合型への変換を促進することも報告されている。一方、私共は活性型Rasがc-fos遺伝子の発現を促進することを明らかにしている。しかし、高等生物におけるRasの標的蛋白質は永らく同定されなかった。他方、種々の細胞増殖因子がMAPキナーゼ・キナーゼを介してMAPキナーゼ/ERKを活性化することが明らかにされている。また、RasがMAPキナーゼの活性化に関与していることも報告されている。さらに、MAPキナーゼがTCFなどのc-fosの転写因子をリン酸化することも明らかにされている。私共は、Rasの標的蛋白質を同定する目的で、Rasが無細胞系でMAPキナーゼ・キナーゼを活性化する系を開発し、Ras依存性にMAPキナーゼ・キナーゼを活性化する蛋白質因子(Ras-dependent ERK kinase stimulator:REKS)を見出している。本年度の研究で、私共はREKSを高度に精製して、REKSがRasと複合体を形成する標的蛋白質であること、Ras依存性に活性化されてMAPキナーゼ・キナーゼをリン酸化して活性化するプロテインキナーゼであることを明らかにした。最近、RafキナーゼやStellキナーゼがMAPキナーゼ・キナーゼ・キナーゼとして働くことが報告されているが、REKSがこれらのキナーゼと異なることも明らかにした。以上の実験結果から、Rasは種々の細胞外シグナルに反応してGTP結合型に変換され、REKS、MAPキナーゼ・キナーゼ、MAPキナーゼのキナーゼカスケードを活性化して、TCFなどの転写因子を介してc-fosの遺伝子発現を制御していると考えられる。本年度の私共の研究成果から、Rasの標的蛋白質について着実な成果を挙げることができ、本年度の研究計画をほぼ達成できたと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)