先天性プロテインS異常症における血栓症発症の分子機構の解明
Project/Area Number |
05253101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鈴木 宏治 三重大学, 医学部, 教授 (70077808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 辰弥 三重大学, 医学部, 助手 (00242959)
重清 俊雄 徳島大学, 医学部, 講師 (50162582)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | プロテインS / プロテインC / 先天性プロテインS欠損症 / 先天性血栓性素因 / 血栓症 / 遺伝子解析 / 遺伝子異常 / 先天代謝異常 |
Research Abstract |
プロテインS(PS)は血小板や血管内皮細胞膜上における活性化プロテインC(APC)のレセプターとなり、APCの凝固Va因子およびVIIIa因子の失活化を促進するコファクターとして機能する。我々は、過去、本重点領域研究の補助金の下、世界に先駆けて血栓症を発症したヘテロ接合体性のPS欠損症(血漿中のPS蛋白量に比較してAPCコファクター活性が顕著に低下しており、分子異常症と推定される)を発見し、発端者と家族のPS蛋白の生化学的・分子遺伝学的解析を行ってきた。その結果、患者血漿中の異常PS蛋白(PS徳島)は正常PS蛋白よりもSDS-PAGEで高分子量を示し、PS分子上のトロンビン感受性領域やカルシウム依存性立体構造を特異的に認識するモノクローナル抗体に結合性を示さないこと、また、患者と血栓症既往家族のPS遺伝子の解析から、第6エクソン内に一塩基変異(A→G)を認め、PS分子の第2EGFドメイン内にLys(155)→Glu置換が生じていることを明らかにしてきた。 本年度は、患者とその家族における血栓症の発症機序を明らかにするため、Site-directed mutagenesis法を用いてPS徳島をコードするcDNAを作製し、発現ベクターpRC/CMVに挿入して、Lys(155)→Glu変異を有するリコンビナントPS徳島蛋白(rPST)をBHK細胞で発現させて検討を行った。rPSTは、SDS-PAGEでリコンビナント正常PS(rPSN)よりも高分子量を示し、また、rPSTは、PS分子上のトロンビン感受性領域を認識するモノクローナル抗体との反応性を消失しており、患者血漿由来のPS蛋白の解析結果と一致していた。また、rPSTのAPCコファクター活性はrPSNに比較して著しく低下していた。 以上の研究結果から、患者および血栓症既往家族では、PS分子内のLys(155)→Glu変異によりAPCコファクター活性が消失し、血栓症を発症したものと考えられた。現在、さらに詳細な構造異常と機能発現不良の関係を解析している。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)