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¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
筋ホスホフルクトキナーゼ(PFK-M)欠損症の遺伝子変異は,私共の最初の症例についで,本研究年度に米国からも報告された。変異の部位は異なるが、スプライス-ドナーサイトの点変異に基づく欠失である点が両症例に共通している。本年度はPFK-M遺伝子の基本的な転写調節機構をひきつづき分析すると共に,PFK-M欠損症の別家系について遺伝子変異の分子多様性を解析した。 正常PFK-M遺伝子のGCボックスを有するプロモーターは,広い組織にわたってタイプCmRNAを発現し,一方,CAATボックス,TATAボックス,M-CATモチーフを有するプロモーターは,タイプA/B mRNAを筋組織特異的に発現する。一方マウスにおいてもPFK-M遺伝子の転写調節領域がヒトに類似し,且つalternative splicingを介する複数の転写産物が組織特異的な発現調節を受ける成績を得た。この結果,PFK-M遺伝子の転写機構は種を越えて保存されていることが示唆された。さらにヒトでは,生理的に骨格筋以外のすべての組織においてPFK-MのmRNAはエクソン11を欠いており,酵素括性の発現調節上の生理的意義が示唆された。 遺伝子変異分析の簡易法としてアイソトープを使わないPCR-ASO法を考案した。私共が新たに診断したPFK-M欠損症家系は,日本における第4,第5家系に相当し,いずれも筋症状,溶血亢進症状に加えて,私共が初めて記載した筋原性高尿酸血症の徴候も示す。その一家系を分析した結果,新しい遺伝子変異を同定した。そして本研究によって,PFK-Mの遺伝子変異の分子多様性と発症の共通分子機構について,今後さらに研究を推進する基盤が確立されたと考える。
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