Research Abstract |
9.DNA配列の解析に必要な様々な対称性の種類として,次ぎのような対称性を定義した.(1)回文型,(ACGT,GCAATCCGTTGCGATTGCなど)(2)周期型,(ある列が周期的に現れるもの,どの部分列がどのような頻度,周期で現れるかが問題となる) 一般に鏡映,回転,平行移動,相補の基本操作を繰返し,もとの系列に戻るものが,その操作系列で指定された対称性を持つといえる.従って上記以外に,一般的にユーザーが対称性を以上の4操作の組み合せにより定義できるようにしておく必要がある.以上の対称性は,2以上の全ての列長に対し定義可能である.また上記の定義を完全に満たす列を完全マッチングの照合率を1とし,満たさない列の列長に対する割合を指定できるようにした. 対称性を用いた推論原則としては,対称性保存則,対称性による記述・分類,対称性制約則,対称性増大則などを定式化した.この中で,対称性制約則のみ計算機上に推論システムとしてインプリメントしたが,ゲノム解析では対称性保存,増大則を中心にする必要がある。この対称性保存を適用することにより,それらの対称性相互の因果的関連付けが期待されるが,本年度はそこまでは至らなかった.またある情報空間での対称性の同定にかぎっても,非常に大きな情報量の対象であるので,異なった情報空間での対称性を手がかりとして,相互に探索していく必要がある. 大規模な配列情報に対しては,より局所的,部分的な対称性の同定から段階的により大局的な対称性の同定に進むことが必要である.またより大局的な対称性の同定に進むほど,不完全なマッチングを許容した対称性の同定を行う必要があることがわかった. また前年度に考察したTypogeneticsモデルとの関連では,自己増殖可能性の条件を,上述の回文,周期,対称性の特徴(頻度,構造など)の説明,制約として用いることは有用であると考える.
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