Project/Area Number |
05256221
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
越智 淳三 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10073058)
|
Project Period (FY) |
1993
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Keywords | エンドセリン / エンドセリン受容体 / 唾液腺顆粒性導管 / アノソタイプmRNA / c-Fos |
Research Abstract |
手始めに、エンドセリン(ET)の抗体を作成した。この抗体は全く新しいハプテン-キャリア結合法を用いて作成されたウサギポリクローナル抗体で、感度・特異性とも格段にすぐれている。ET-1〜3のC末端のアミノ酸配列は完全に相同でかつ活性基と考えられているが、この抗体はETsのC末端をキャップする形で結合するため、ET-1〜3の区別はできないものの、BigETsとは交叉反応せず、感熟型(すなわち分泌型)のETsだけを検出することができる。また生体内においてETの作用を中和させることもできる。これまで、ETの生体内分布の検索はETの含量の低いこともあって、きわめて感度の高いRIA法やノーザン・ブロット法、さらにはRT-PCR法を用いなければならなかった。しかし、これらの非形態学的方法では、ET含有細胞の細胞分類ができないし、また感度の高すぎる方法は、かえってETの重要な存在意義を覆い隠してしまうことになる。われわれの抗体を用いた通常の感度の免疫組織化学法による成熟ラットにおける検索では、ETが唾液腺顆粒性導管細胞でNGFやEGFなどの成長因子類と共存していることが判明した。このことにより、ETの増殖・分化因子としての機能が示唆されたため、ラットの個体発生におけるETの発現を観察した。その結果、肺、心臓、甲状腺、消化管などに陽性所見を認めた。とくに肺では増殖の盛んな部位にだけETsが存在していた。ETのアイソタイプを区別するため、RT-PCR法とin situハイブリダイゼーション法を用いて検討したところ、ET-1、2、3すべてのアイソタイプmRNAの発現を心臓および肺で認めた。 また同時に、ETのAおよびB型受容体についても同じ手技で検索したところ、これらのETの存在部位のすぐ近傍にあることが判明した。その後、A受容体に対する抗体も作成し、免疫組織化学法とウェスタン・ブロット法を施行して、この結果を追認した。これらの結果から、胎児期の心臓や肺では、細胞増殖のさかんな部位に一致して、ETsが合成・分泌され、そして近傍の細胞に働きかけるということが理解される。一方、中枢神経系においては、われわれの新しいETs抗体により、視床下部の室傍核・視索上核の大型ニューロンを中心とするいくつかのニューロンについてだけは、免疫染色が陽性であることが確認された。また、脳室内にETを投与した際、視床下部のいくつかのニューロン内にc-Fosタンパクが発現することや、それらのニューロンはA受容体抗体に対しても免疫染色陽性となる、ことも考え合わせると、ETsは中枢内において神経活性物質として働いていると思われる。
|