Research Abstract |
スケールイーターについては,同一種内での左右比の変動の研究を踏まえ、複数種のなかにそれぞれ左右非対称性の多型がある場合にどうなるかがモデルによって調べられた.その結果,一般に,それぞれの種での左右比の振動が種間で同調することが明らかとなった.計画班の堀氏らによって,この結果がフィールドのデータで確かめられることが,今後期待される. 捕食被食関係による多型の維持と多種共存は,重点研究「地球共生系」のコアプロジェクトの,堀,松田,幸田氏らとの共同研究により,捕食共生という概念にまとめられた.これは,競争関係にある,捕食者どうし,あるいは,被食者どうしのあいだに,餌の警戒を分散させるなどの要因のため相利的な相互作用が働くことを指摘したものである.生物の多様性には,捕食共生が大きな要因として,働いていることが示唆された.捕食共生の特徴,タイプの分類などの研究が,現在続けられている. 周期的変動が生態系に与える影響については,競争系での難波氏との共同研究の結果を発展させ,捕食被食関係を通じた間接効果により,2種の捕食者や餌が共存する条件が調べられた.捕食者餌系では,系の変化の速さを表わす特性振動数が定義され,それが周期的変動の振動数よりも大きい時(系の変化が速いとき)には,捕食者の共存がみられ,小さいとき(系の変化が遅いとき)は,餌種の共存がみられることが明らかとなった. また,計画班の山村氏の血縁者間のコンフリクト解消のモデルに対し,コンフリクトが解消された状態が不安定で,コンフリクトの勝者と敗者が一定の時間間隔で逆転する可能性のあることが,理論とシミュレーションにより明らかとなった.
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