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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
(1)タイにおけるHIV-1流行に関する分子疫学的研究を行い, 1)タイに流布するHIV-1流行株は,A,B(それぞれLos Aamos分類のClade EとClade B)2種のサブタイプに分類されること。 2)両サブタイプは,それぞれ,アフリカ型および北米型HIV-1分離株に近縁であること。 3)サブタイプAは売春婦や男性売春者,STD患者など性的接触による感染者に多く分布しており,一方サブタイプBは注射薬物乱用者(IDU)に多くみられることを明らかにした。 (2)決定したV3領域のアミノ酸配列に基づいて抗原ペプチドを設計し,EIA法によるタイ型HIV-1ヴァリアントの血清学的サブタイピング法を開発した。この方法によって,タイ型HIV-1感染者を簡便にスクリーニングすることが可能となった。 (3)血清学的サブタイピングとPCRを用いた遺伝子解析の手法を用い,主に関東地域のHIV-1抗体陽性者を対象にタイ型HIV-1感染者の検索を行い,その結果, 1)1991年夏以来,関東地域を中心に多数のHIV-1感染者の見い出されている日本在住の東南アジア地域出身者の多くが,サブタイプAHIV-1の感染者であること。 2)東南アジア出身の男性で,過去に注射薬物乱用の既往歴をもつ2例が,タイ・サブタイプBHIV-1の感染者であることを明らかにした。 3)また,これまでに9例の日本人のサブタイプAHIV-1感染者を同定した。このうち5例は東南アジア地域への頻繁な海外渡航歴をもっていたが,他の4例は海外渡航経験をもたず,国内感染が疑われる症例であった。またこの中には1例の日本人家族内の母子感染例を含まれていた。 (4)日本におけるタイ型HIV-1感染者からウイルスを分離した。現在そのウイルス学的性質の解析と分子クローンの分離の試みが進行中である。今後,タイ型ウイルスの生物学的特性の解析と,タイ型ウイルスを標的とするワクチン・受動免疫など感染予防・発症技術の開発を進めて行きたいと考えている。
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