Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
免疫グロブリンH鎖結合タンパク質として発見されたBiPは,小胞体の内腔に存在するhsp70として,小胞体の膜を通過して内腔に入ってきた新生タンパク質の高次構造形成に関わるものと考えられている.BiPはC末端にK(H)DELという小胞体残留シグナルをもつことでも有名であり,その小胞体局在には,小胞体-ゴルジ体間のリサイクリングが重要であるとされている.われわれは,小胞体の膜タンパク質であるSec12pがやはり小胞体-ゴルジ体間でリサイクルしているらしいことに注目し,この小胞輸送のダイナミクスに異常をきたした酵母の変異株rer1,rer2を分離してきた.このうちrer2変異株は,Sec12pの動態異常に加えて,増殖の温度感受性およびBiPの過剰発現と分泌というきわめて興味深い表現型を示した.rer2変異は増殖の温度感受性を示すので,その相補を利用して酵母のゲノムDNAライブラリーより野生型の遺伝子をクローニングすることを試みたが,復帰変異の頻度が高く,はじめに得られたクローンは,多コピー抑圧遺伝子(SRT1と命名)であることが判明した.rer2変異株はハイグロマイシンに超感受性を示すことがわかったので,温度感受性増殖とハイグロマシン感受性を同時に相補するクローンを再スクリーニングすることにより,真のRER2遺伝子と思われるものを分離し,現在解析中である.また,Sec12pの挙動を解析する過程で,小胞体-ゴルジ体間輸送のブロックがBiPの細胞内局在を大きく変化させることを見いだした.BiPによるクォリティコントロールという観点から,その意味を検討している.
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