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¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 1993: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
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Research Abstract |
脊索を周囲の組織から切り放す実験で,脊索が形態形成に関係する拡散性の物質を分泌している事が示唆されたので,脊索の内分泌機能の可能性を探った。 電子顕微鏡でその可能性を示す形態的な構造が観察されるか否か先ず検討してみた。尾側端近くの出来たばかりの脊索細胞は自由リボソームを大量に含む極めて幼弱な形態を示した。極めてわずかではあるが所々に有芯小胞が観察されたが顆粒の電子密度は低いものであった。頭方の発生の進んだ部分では,脊索細胞は急速にその内部構造を発達させ,大型のミトコンドリアや発達したゴルジ装置,粗面小胞体を備えるようになる。形態とサイズは様々であるが明らかな有芯小胞が観察された。顆粒の電子密度は様々であった。現在までに観察された最大の直径は約400nmであった。一例ではあるが開口分泌と思われる像も観察された。 以上のように脊索細胞には成体に見られる内分泌顆粒と形態学的に類似の構造が認められたので,その内容物がすでに報告されているアミンの顆粒である可能性を探るため5-DHT前処理によりアミンを増強した胚子をFalk-Hirallup法と電顕で観察した。明らかなアミン蛍光物質と認められる所見は得られなかったがコントロールと比較して電子密度が増強したと思われる顆粒が電子顕微鏡で認められ,一部の顆粒にアミンが存在する事を示唆する所見も得られた。光顕レベルで判断出来なかった可能性としてこの様な顆粒の数の少ないことが考えられた。しかし形態形成に関係するホメオボックス遺伝子が産生する物質の中に分泌性のものがある事も明らかにされており,これらが顆粒状になる可能性は十分ある。5-DHT前処理に反応しない顆粒がそのような物質を含んでいることも考えられるので,今後は成体の内分泌性の物質よりむしろ形態形成に関係した遺伝子によって作られた分泌性の物質について検討する必要があると思われる。
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