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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
マウスには,8〜9対の口蓋ヒダがみられる.本研究の目的は,妊娠マウスに環境催奇形物質を投与し,妊娠末期胎仔の口蓋ヒダを観察して,どのような形態変化が化学物質の発生毒性検出指標として意義があるかを明らかにすることである.Jcl:lCRマウスの成熟雌を雄と交配し,腟栓発見日を妊娠0日とした.妊娠雌に下記の化学物質を強制経口投与した.1)2,3,7,8四塩化ジベンゾパラジオキシン(TCDDと略),5〜40μg/kg,妊娠12日.2)全トランス・レチノイン酸(RAと略),0.6〜80mg/kg,妊娠12日.3)メトキシ酢酸(MAと略),0.32〜0.64ml/kg,妊娠10日.妊娠18日に胎仔を取り出して口蓋を実体顕微鏡下で観察した.口蓋裂のある胎仔は口蓋ヒダ観察の対象から除いた.無処置対照群胎仔にまれにしか認められなかった第4ヒダ以後の過剰(過剰と略),短小,癒合,交差,方向異常を口蓋ヒダ異常と定義した.無処置群での異常の頻度は4%であった.TCDD,RA,MAいずれの投与によっても,口蓋裂および口蓋ヒダ異常が用量反応関係をもって誘発された.TCDDでは口蓋裂誘発閾値(裂閾値と略)と口蓋ヒダ誘発閾値(ヒダ閾値と略)は10μg/kg付近で,ほとんど差がなかった.RAでは裂閾値が20mg/kg付近であるのにヒダ閾値は0.6mg/kg以下と1桁以上低かった.MAでも裂閾値が0.64ml/kg付近であるのに,0.32ml/kgでも20%以上の胎仔にヒダ異常がみられた.異常の型としては,TCDDとMAでは短小,RAでは過剰が多かった.このように,口蓋ヒダの異常は,いろいろな催奇形化学物質の投与により用量反応関係をもって増加し,口蓋裂がおこらない低用量でも増加する場合のあることが明らかになった。以上の結果から,口蓋ヒダは化学物質の発生毒性検出指標として観察の価値のあるものと結論できる.
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