Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 1993: ¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
|
Research Abstract |
除脳イヌとネコで除脳無麻酔下で実験を行った.膀胱頚部で尿道を結紮して排尿反射時の膀胱と尿道の内圧変動を観察した.生理的食塩水の膀胱内注入による膀胱進展刺激で排尿反射が誘発されたが,膀胱収縮と同時に内尿道括約筋部内圧が下降した.この反応は横紋筋弛緩剤投与後も消失せず,内尿道括約筋固有の弛緩反応と考えられた.膀胱を70〜80%の容量に保って脳幹部の橋排尿中枢(PMC)を電気刺激(30〜70μA,0.3msec,50Hz,1〜3sec)すると膀胱収縮と内尿道括約筋弛緩が誘発された.この反応は横紋筋弛緩剤投与後も消失しなかった.膀胱を空にしてPMCを刺激すると,膀胱収縮はなかったが内尿道括約筋弛緩は出現した.この結果はPMCが内尿道括約筋の活動を調節していることを示している.PMC刺激による内尿道括約筋の弛緩は交感神経幹と下腹神経切断で減弱したが,α刺激剤のphenylephrineで尿道を収縮させて電気刺激すると内尿道括約筋弛緩が明瞭となった.この反応はβ遮断剤のpropranololや抗コリン剤のatropine投与では影響を受けなかった.しかし骨盤神経切断でこの反応は消失した.したがって,排尿反射時の内尿道括約筋の弛緩は,蓄尿時に高まった交感神経系の興奮が排尿時に抑制されるため生じる受動的反応に加えて,骨盤神経を経由する非アドレナリン・非コリン性神経の興奮による能動的反応によって出現することが明らかとなった.adenylate cyclase阻害剤のmethylene blueを投与してPMCを電気刺激すると,膀胱収縮は大きくなったが内尿道括約筋弛緩反応は抑制された.一方,ウレタン麻酔下ラットで検討すると,排尿反射時の内尿道括約筋弛緩反応は,NO合成酵素阻害剤であるL-NAMEやL-NMMA,またmethylene blueにより抑制された.以上の結果より,排尿反射時の内尿道括約筋の弛緩反応には,L-arginine〜NO〜Cyclic GMP経路が関与していると考えられた.
|