Budget Amount *help |
¥7,000,000 (Direct Cost: ¥7,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥7,000,000 (Direct Cost: ¥7,000,000)
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Research Abstract |
インプラントの理想的な支持構造は,天然歯の歯周靭帯にみられるのと同様の生理学的並びに生体力学的構築であることに違いない。しかし,今日まで天然歯歯周靭帯と同じ構造や機能にて支持されるインプラントの開発に関しての基礎的あるいは臨床的な研究報告はまったく見あたらない。そこで本研究では,Nymanら(1982)の提唱する組織再生誘導法を応用して,各種インプラント材料表面への歯周靭帯の誘導の様相を検討した。 すなわち,成猫上顎犬歯の頬側歯肉を剥離後,犬歯歯根面を露出させるよう同歯槽骨を開窓し,歯根面に直径0.8mm,深さ0.3mmの窩洞を形成した後,同サイズの各インプラント材料(ハイドロキシアパタト,生体ガラス,チタン合金,ジルコニア)を充填した。次いで,ミリポア膜にて被覆後,歯肉弁を整復し材料表面への歯周靭帯の誘導を図った。 その結果,すべての動物において開窓した歯槽骨は新生した骨により修復されており,材料表面と歯槽骨との間には線維性組織が介在していた。このうち,生体活性材料であるハイドロキシアパタトおよび生体ガラス表面には歯根表面に観察されるセメント質に連続して同様のセメント質様硬組織の層が形成され,この組織中には歯槽骨より連続する線維束が入り込むなど,天然歯歯周靭帯と変わらぬ組織構造を示していた。一方,生体不活性材料であるチタン合金およびジルコニア表面には,セメント質様硬組織の再生はまったく認められず,周囲の線維性組織の走行も材料表面に平行であり,歯槽骨との材料表面とを連続するような線維の走行は認められなかった。以上のことより,インプラント材料のうち生体活性材料であるハイドロキシアパタイトおよび生体ガラスにおいて,セメント質様硬組織の再生並びに同組織への歯周靭帯様組織の誘導の可能性が明らかとなった。
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