外傷性ショック死の法医病理学的所見の類型化に関する研究
Project/Area Number |
05557029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Legal medicine
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 庸夫 山形大学, 医学部, 教授 (70004588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 和夫 山形大学, 医学部, 助教授 (10091828)
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Project Period (FY) |
1993 – 1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥8,100,000 (Direct Cost: ¥8,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1993: ¥6,800,000 (Direct Cost: ¥6,800,000)
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Keywords | 外傷性ショック / 播種性血管内凝固症候群 / ショック腎 / 骨髄細胞塞栓 / 骨髄細胞栓塞 |
Research Abstract |
兎で、右大腿上部を乳児用駆血帯で8時間緊縛した後、解除することによって外傷性ショックのモデルを作成した。緊縛解除後、兎は早いもので半日後、最も遅いものでも3日後に呼吸速迫、乏尿、体温降下などの典型的なショック症状を呈して死亡した。これらの例について、死亡後、各臓器の肉眼的並びに組織学的所見を検索した。肉眼的所見では、緊縛解除後死亡までの時間が長い例では肺水腫や胃粘膜下出血がみられるようになったが、しずれにもショック腎の所見や心内膜下出血は認められなかった。組織学的所見では、肺の骨髄細胞塞栓は死亡まで半日のものから見られ、死亡までの時間の長いもので著明になった。肝細胞壊死は死亡まで1日以上のもの、肺脂肪塞栓および腎臓の糸球体のボ-マン氏嚢の膨化や尿管の拡張は死亡まで30時間以上のもの、心筋の帯状変性は最も遅く緊縛解除後2日以上のもので初めて認められた。以上のことから、外傷性ショックの原因が作用した後、死亡までの時間が組織所見から類型化されることが判明した。 これらの結果を外傷性ショック死の剖検例と比較すると、肉眼所見、組織学的所見共ほぼ共通して認められ、また、緊縛解除後の死亡時間によって見られる所見もほぼ共通していた。ただ兎での外傷性ショックモデルでは、ショック腎と心内膜下出血のみられたのがなかったのは緊縛解除後死亡までの時間が12時間以内に死亡するものがなかったためと考えられる。また、肝細胞壊死などの修復過程が見られなかったのは緊縛解除死亡までの時間が最高でも3日にすぎなかったためと思われる。 以上のことから、外傷性ショック死の法医病理学的所見は類型化され、これをもとにすれば外傷性ショック死の診断はもとより、外傷から死亡までの時間も推定されると考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)