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¥11,000,000 (Direct Cost: ¥11,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥11,000,000 (Direct Cost: ¥11,000,000)
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Research Abstract |
ムギネ酸に代表される高等植物における鉄輸送キレート剤は,植物の必須要素である鉄を根に運びこむ役目を担う,植物栄養上重要な生理活性物質である.我が国の主要作物であるイネ科植物における鉄吸収機構あるいは鉄欠乏耐性機構の成り立ちを理解し,新たな鉄欠乏対策の技術開発をはかる上で,ムギネ酸類の生理,生化学の研究は極めて大切であり,その足がかりとして,ムギネ酸類の大量合成に向く一般的合成法を確立し,ムギネ酸類の大量供給を行うことを目的として本研究を行った。 ムギネ酸の合成にあたって,分子をアゼチジンカルボン酸部(A),beta-ハイドロキシ-alpha-アミノ酸部(B),そしてalpha-ハイドロキシ酸部(C)の三つの部分にわけ,それぞれを立体選択的に構築する方法を種々検討した。その結果特に(B),(C)についてはフェニル基をカルボン酸等価体として用いる方法を採用し,Sharplessの不斉エポキシ化反応を活用して(B),(C)を立体選択的に合成することに成功した。得られた(A),(B),(C)は還元的アルキル化によって結合し,ムギネ酸を15行程通算収率29%で合成した。本法を用いムギネ酸の大量合成に成功すると同時に,他の鉄輸送キレート剤5種を合成することに成功した。
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