トマス・アクィナスにおける新プラトン主義の影響……新プラトン主義の影響史の研究……
Project/Area Number |
05610005
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Philosophy
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岡崎 文明 金沢大学, 教育学部, 教授 (20117005)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | プロクロス / トマス・アクィナス / 『原因論』 / ディオニシウス / 善 / 存在者 / 善の優位性 / 存在の優位性 |
Research Abstract |
通説ではトマス・アクィナスはアリストテレス主義者として知られているが、一層深くは新プラトン主義の影響を受けている。トマスが接した新プラトン主義の第一はプロクロス哲学である。「II.研究発表の雑誌論文」の第一において、トマスが新プラトン主義文書『原因論』とディオニシウス文書を介して「第一原因」の理解をプロクロス哲学から大きく受けていることをテクストに即して明らかにした。第二論文では、『原因論』の命題2のesse superiusの三つの段階をトマスは自分の体系の「神」「分離実体」「魂」の三つの段階に対応するものと解釈していることを明らかにした。第三論文では、これを受けて上の諸段階はプロクロスの第2段階の三一‥存在・生命・知性のTriade‥に対応することを明らかにした。ここから『原因論』とトマスはプロクロスの「善の優位性」の哲学を「存在の優位性」の思想系譜にいわば座標変換していることが判明する。第四論文は新プラトン主義の善一者の思想源泉をプラトンの『パルメニデス篇』の第一の仮定に求めた試行的論攷。「II.研究発表の図書」の第一では過去約十年間の新プラトン主義とトマス・アクィナスに関する研究を纏めた。ジルソン流に万有の根源を「善」と捉えるかそれとも「存在者」と捉えるかで西洋哲学史全体を「善の優位性の思想」(古代哲学)と「存在の優位性の思想」(中世以降の哲学)の2系譜に区別し、この中でプロクロス、トマス・アクィナス、『原因論』を考察して、プロクロスは「善の優位性」の思想系譜にトマスと『原因論』は「存在の優位性」の思想系譜に属していることを明らかにし、最後に万有の根源は善であるのかそれとも存在者であるのか、また知性であるのかないのか、という古い問題を再提起した。第二書は上掲書で提出した哲学史観を8人で協力して西洋哲学史全体に適用した試論書である。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)