Project/Area Number |
05610011
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Philosophy
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
谷 徹 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (40188371)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 無意識 / 自然 / 内在 |
Research Abstract |
近代以降の哲学の中心に据えられた「意識」は、最広義での「無意識的なもの」が可能している。私の研究の目的は、現象学の方法をもちいて、この無意識的なものを発掘し、その構造を明らかにすることである。研究は、まずドイツ観念論、特にシェリングの自然哲学を、クリングスなどの研究を手引きとして再考察しなおすことから始められた。シェリングの自然哲学は、意識哲学としての超越論的観念論と同格のものではなく、むしろ自然哲学は、意識を可能にする無意識として「自然」を扱っていると解することができる。その「自然」は機械論的な自然ではなく、自己創造性をもつ「主体としての自然」である。この自然=無意識が意識を可能にする。 しかし、現象学は意識を出発点とする。とすると、意識の発生基盤としての自然を「意識」が問うことになる。これは、比喩的に言えば、目が、目の発生以前を見ようとする試みに近い。同様の困難を、精神分析も抱えている。無意識の考察自体が、無意識になるものの捏造だという謗りを免れにくい。 こうした問題点に対して、ミシェル・アンリの「内在」という概念はひとつの解答を与えてくれた。意識と無意識は、内在=生の距離化によって同時的に成立する。この距離化が、意識と意識の分解=ズレを産み出す。これによって、シェリングの自然哲学を、ズレを介在させた意識発生論として、意識の側から現象学的に読み取る観点が確立された。 さらに、こうした点はデリダなどの哲学にも深く関わる。その点についても研究がなされた。これからの研究の効果は、本紙裏面の論文でも一部発表された。以上が今年度の研究の成果である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)