Research Abstract |
1.調査用紙の作成 食行動異常を呈する者(やせるために下剤かやせ薬を使用している者)に見られる特徴的な行動と意識を測定するため,次の内容からなる質問紙を作成した.Garner(1979)らのEATとEDIから服部ら(1993)が選択した33項目,伊藤(1978)の女性性尺度と男性性尺度の20項目(現実自己像と理想自己像を測定する),菅原(1984)の自己意識尺度から選択して加筆・修正した20項目,梶田(1980)の自信・自己受容尺度から選択して加筆・修正した8項目,EPPS性格検査の自己顕示欲求尺度の9項目,古川ら(1992)のチェックリストから選択して加筆・修正した6項目,拒食症・大食症患者に関する事例研究等を参考に作成したチェックリスト29項目,である. 2.調査の実施 女子高校生,女子専門学校生,女子大学生,総計1658名に調査用紙を実施した.無回答あるいは外れ値の多い回答用紙を除いたため,分析には1647名の調査用紙を利用した.平均年齢は18.6歳である. 3.結果 食行動異常群(63名,出現率3.8%)と健常者群とを比較したところ,食行動異常群には次の特徴が見られた.やや肥満が高いが(BMIの差は1.0)減量希望量が大きい,ダイエット志向・やせ願望が強い,肥満恐怖が強い,自己誘発嘔吐が多い,感情がやや混乱している,過食傾向が強い,体型の不満が強い,公的な自己意識が強い,自信・自己受容が弱い,食べ物に対して強い関心がある,ダイエット法の広告・書籍・雑誌に注意が向く,過度に体重を気にしている,ダイエットの体験が多い,食生活を隠ぺいする傾向がある.さらに,判別分析を行ったところ,86%の者を正しく判別できた.今後は,項目を精選して拒食症患者と大食症患者に実施し,並存的妥当性を確認することが課題である.
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