Project/Area Number |
05610284
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
原田 敬一 佛教大学, 文学部, 助教授 (70238179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 正 専修大学, 法学部, 教授 (50127198)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1993: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 社会史 / 軍夫 / 戦後統計 / 日清戦争 / 文明戦争 / 兵站 / 従軍者 / 国際法 |
Research Abstract |
本年度は、防衛庁戦史部図書館・岡山県立図書館・福島県歴史資料館・富山県立図書館・富山公文書館所蔵の、公文書・編纂物・記録・新聞を調査・検索・複写・収集に努めた。 その結果、第一に日清戦争での軍夫の動員数などが『明治廿七八年戦役統計』(防衛庁戦史図書館所蔵)で判明した。この史料によると、軍夫は兵站部だけでなく、師団に直接参加している。ただこれでも軍夫の被害数は不明で、収集した史料のうち兵庫県の『戦役記念金蘭簿・飾磨群』などは軍夫記述自体がない。ただ『福島県従軍者名誉簿』(福島県歴史資料館所蔵)は、軍夫の性行・送金などのほか氏名・略歴なども記録しており、他の地域にも同様の記録が存在する可能性を発見した。第二に、軍夫の募集・集合に県庁・群役所など地方庁の役人が積極的に関わったことが明らかになった。師団司令部の軍夫必要数の提起に従って、地方庁の役人が直ちに町村へ派遣され、雇用条件等について説明し、予定数の募集に従事した。応募した軍夫候補者は、軍医によって診断され、採否が決定される。みごと軍夫となったものは、大倉組などの民間雇用組織に所属して、戦地へ向かった。賃金は、師団司令部から民間雇用組織に支払われるという間接的雇用形態に終始した。そのため、戦後になって賃金・負傷などの手当をめぐり、いわゆる軍夫問題と言われるものが起きることになった。 福島県では、全体の引率者として県の役人が休職して参加しており、戦後直ちに復職しているから、行政の一機能として参加したと思われる。軍夫は、民間人と行政官庁、軍隊が錯綜した複雑な問題であることが、今回の幾つかの地方に限定した調査でも明らかになった。これが普遍的な問題であることを証明するには、いっそう広い地域での調査が必要である。 第三に、軍夫の戦場での実施がやや明らかになった。戦地派遣前には非武装が軍から指示されていたにも関わらず、多くの軍夫は武装しており、兵站を狙った攻撃によって戦闘にも加わり死傷者も出た。それだけでなく、第一線にいた軍夫は、軍夫の身分のまま、軍隊から砲兵隊や衛生隊などに再組織され、戦闘に加わった。これは、国際法を無視した重要な問題であった。これが戦史に記録されていないから、なぜ不問に付されたのかも今後の追求課題である。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)