邦人撰述古典注釈書・古刊本類の書誌的調査とその文学研究への応用に関する研究
Project/Area Number |
05610361
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
国文学
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
牧野 和夫 実践女子大学, 文学部・国文学科, 教授 (70123081)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1993: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 注釈書 / 古刊本 / 南宋刊本 / 高山寺 / 中世天台 / 法華経注釈書 |
Research Abstract |
我邦古典注釈書・古刊本類の基礎的調査を、関西方面を中心におこなった。古典注釈書類については、大津市の叡山文庫・西教寺を核にした中世天台の三大部講釈、法華経直談に関する注釈書の調査・〓集・整理を進め、検討を加えた。その結果、関東の神奈川県立金澤文庫保管称名寺蔵の天台系注釈書類の内容・形式等と近似するものも存し、その一端を口頭にて発表した(神奈川県立金澤文庫に於て)。今後は、関東中世天台-とくに鎌倉期写本を蔵する称名寺が中心-との比較研究がのぞまれる。今回の調査研究は、その基礎作業として極めて有益であった。 又、京都市の東寺観智院蔵・和歌山県高野山霊宝館蔵の聖教類の基礎的調査を進めるに伴い、真言系の諸注釈書(霊験記等ふくむ)の分類・整理が進展した。検討を加えたところ、従来未紹介の『秘蔵〓鑰』注釈書類を始め、いく点かの新出資料を得、引用漢籍にみるべきものを認めたが、その注釈史上の位置は、東寺宝菩提院・醍醐寺の蔵本類との比較検討を要するところであり、今後の調査研究に期するものである。 古刊本類の調査としては、京都市の高山寺・大谷大学図書館,奈良市の東大寺図書館,和歌山県の高野山霊宝館に赴き調査研究をおこなった。各々に従来知られることのなかった新知見をえたが、高山寺蔵の律の宋刊本類(建長〓進の書籍目録著録)は、多く、南宋〔嘉定〕刊、或は〔嘉定〕修印のもので、いわゆる高山寺宋刊「一切経」とは異なるものであることも判明した。又、南宋抗(明)州刊本の舶載の顕著なことも、高山寺現存資料より確認できたが、このことは、我邦文学に及ぼした宋代抗州文化-白猿伝・霊隠寺等-の甚大なることを宋代刊本類の舶載受容の方面より澄したことになる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)