ドイツ・ロマン主義における自然神秘思想の受容の研究
Project/Area Number |
05610409
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
独語・独文学
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Research Institution | Aoyama Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
中井 章子 青山学院女子短期大学, 教養学科, 助教授 (10172256)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1993: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ノヴァーリス / 自然神秘思想 |
Research Abstract |
ドイツ初期ロマン主義と自然神秘思想について、当初の予定どおり、文献調査をし、資料を熱め、書籍を購入し、自然神秘思想の伝統とロマン主義の関係についての研究を行った。平成5年度には、ヨーロッパ近代の自然神秘思想についての数年来の研究がまとまり、『キリスト教神秘主義著作集 第16巻 近代の自然神秘思想』として出版した。解説(中井章子執筆)において、自然神秘思想が、ヨーロッパのルネサンスからロマン主義にいたる重要な思想であることを明らかにし、基本的な考えを説明した。また、錬金術文学であるアンドレーエの『化学の婚礼』とノヴァーリスの関わりを扱った論文(ドイツ語)を発表した。アンドレーエのこの作品とノヴァーリスのあいだには、宗教や哲学と自然認識の関わりの問題、錬金術の象徴的言語と文学の関連の問題などについて共通性がみられることがわかった。今年度の研究としては、ノヴァーリスの哲学と自然学と詩学を自然神秘思想との関わりで総合的に論じた論文を執筆中である。ノヴァーリスは、十八世紀後半の時代の共通の思想的前提であった自然神秘思想を、カントやフィヒテの哲学と重ね合わせて、自分の思想に取り込んでいる。そして、自然神秘思想をとくに文学の方法として用いている。このことにより、ノヴァーリスは、モデルネ以降の文学や芸術の先駆となっている。自然神秘思想は、同時代人であるゲーテの文学や自然学、シェリングやバーダーの自然哲学にも関わっているが、ノヴァーリスは1800年以降の時代にあって、自然神秘思想の可能性が「ポエジー」にあることを、同時代人のなかで一番はっきりと見極めていた。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)