Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1994: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1993: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本来、平成6年度で研究が完成する予定であったが,質的データを数量化する作業に時間がかかったため,個別事例の中の内容の意味連関の了承から引き出される概略的なパターンを得たに過ぎない。得られた主な知見を示せば,以下のようであった。 自由主義イデオロギーの中心的概念である「自由」に対する理解が,保守系と革新系では異なっており,保守系の場合にはどちらかというと経済活動の自由が,革新系の場合には表現の自由・人権が強調される傾向がある。但し,保守系の場合には,儒教的倫理の残滓を含む保守主義的態度と,自由主義イデオロギーの受容とが結びついているため,経済的自由主義が前提とする自助・自立的人間像と,保守主義的観点からの弱者救済観(或いは公正さの感覚)とが混在している。このことは,保守系の間においても顕著である「権力」観の分化,天皇制に対する態度の相違とも深い関連を有するように思われる。 他方,多くの地方議員の認識枠組の中では,国内政治或いは世界政治で流布している普遍的イデオロギーと,現実政治上の「政策」イデオロギーとの間の区別が必ずしも明確ではなく,上位エリートの政治的言説の中での「政策」イデオロギーレベルの変化が地方議員レベルでの普遍的イデオロギーレベルの変動をもたらしたり,逆に,「政策」イデオロギーレベルの政治的言説の変化を普遍的イデオロギーレベルで捉えた地方議員が,政策イデオロギーの変化に対して抵抗する現象が見られる。但し,これは,他の社会にも共通する,エリートと大衆の間のイデオロギー的連接形態が,戦後日本の特殊な政治状況の中に発現したものに過ぎない可能性もある。
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