Research Abstract |
本研究においては,緩和振動と相互作用および揺動力に影響される2階非線形力学系の確率論的漸近挙動の解析を行なった。新たに得られた知見等の成果は次の事柄である。 1.小助変数が2階微分の最高階の所に掛かっている場合について,確率振動子の応答を2次元確率微分方程式の解として定式化を実現した。 2.変数変換をうまく行なうと,小助変数の依存のあり方が,大きな相互作用力と大きな揺動力を伴う非線形振動子における大助変数の依存のあり方と同値であることを示した。 3.2次元確率微分方程式の解を急速変数過程(速度)と遅変数過程(位置)とに分け,それぞれの確率過程が助変数の増減変化と共にいかなる極限軌道に向かうかについて,その極限の同定を確率論的に行なった。 4.緩和現象と相互作用を特徴づける急速変数過程と遅変数過程それぞれについて,極限軌道からのへだたりの度合を示す揺動過程が中心極限定理と同じ確率法則に従っていることを証明した。さらに,極限軌道からの誤差を表す誤差剰余過程を定義し,それが指数関数的に急激減少するという,いわゆる大偏差原理の成り立つことを証明した。 以上の結果は,科研費による他のシンポジウムで2回発表され,さらには,確率論サマーシンポジウムにおいても発表され,本尾 実(東京電機大),土谷正明(金沢大)から助言をいただいた。特異摂動論に関連した事柄が多く呈示され今後の方針が得られた。各研究分担者による幾何位相的考え方も役立ち,院生による計算機実験による確認等,境界をこえた研究も出来た。
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