(DMe-DCNQI)_2Cu系の金属非金属転移と比熱
Project/Area Number |
05640429
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
西尾 豊 東邦大学, 理学部, 助教授 (20172629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶田 晃示 東邦大学, 理学部, 教授 (50011739)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 有機伝導体 / 金属-非金属転移 / 相転移 / 低温 / 比熱 / (DMe-DCNQI)_2Cu |
Research Abstract |
1次元の強い伝導体では圧力の印加により。次元性を高め、Pieles転移を押さえることが可能である。これに対し(DMe-CNQI)_2Cuでは圧力の印加により逆に金属相が不安定になり、さらに低温では再度、金属状態に戻る特異な物質である。この転移のおこる70-100K辺りでDCNQI分子についたメチル基の回転が止り初めており、回転と転移の関連が注目を集めている。東大の加藤らはメチル基の水素を重水素で置換することにより回転をコントロールし有効圧力を高めて転移を常圧に於て実現させた。本研究ではこの重水素置換を施した系を用いて0.5Kから90Kまでの比熱測定を行った。その結果6-7Kに20J/molKを越えるとてつもなく大きな極大を持つSchottky型の異常比熱が観測された。この異常比熱の原因を探るためDCNQI分子上の8つの水素を選択的に重水素置換し、同様に低温比熱を測定した。その結果、メチル基上の重水素の位置の自由度に対応した余剰なエントロピーが異常比熱の観測より得られ、schottky型の比熱を用いてフィッティングを行った結果、定量的にもこの自由度で異常比熱の説明が可能なことが明かとなった。これらより、5-6K以下の温度ではメチル基の回転がトンネルによる回転も含めて完全に止るのに対し、重水素を置換しない(DMe-DCNQI)_2Cuでは最低温度に於てもトンネルによる回転が可能であることも示した。 次に10-100Kまでの高温部の電気抵抗と比熱を同時に測定可能な装置を開発し、単結晶を用いて金属-非金属転移点近傍における比熱を細かく測定した結果、温度上昇時に経験する金属-非金属、非金属-金属転移の2つの点において、吸熱を伴う温度依存性が観測され、これらの転移が潜熱を伴う1次相転移であることが明らかになった。この結果は、転移において系が熱力学的に非平衡状態にあるのではないかとの東大澤らに指摘を否定的するものとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)