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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本研究の結果,以下のことが明らかにされた. 1.2成分相互拡散交代作用において,拡散流が互いに独立ならば,流れが消滅する状態(即ち,“自己制御"された状態)以外の局所平衡を充たす定常状態は存在しないことが,理論的に明らかにされた. 2.一方,局所平衡が成立しない場合においても,流れが独立であれば,現在考えられているカイネティクスによれば,反応帯内の塩析効果は生じ,“自己制御型"となることが示された. これらの結果は,1993年度資源地質学会のシンポジウムで発表された. 3.天然の複交代スカルンの観察の結果,幅の狭い単鉱物スカルンでは,拡散流が独立である場合に生じるはずの反応帯中の孔隙率の減少が認められたが,いくつかの幅が数センチメートル以上の比較的複雑な鉱物組成のスカルンでは,この変化が認められなかった. 以上の1〜3の結果は,充分な幅のスカルン形成においては,拡散流がそれぞれ独立ではないことを示唆していると考えられる.しかしながら,この“流れの独立性"は従来の熱力学やカイネティクスからは判定不可能であるため,簡略化されたモデルの数値解析をすすめている.現在のところ,2成分相互拡散系では,孔隙溶液中の濃度の高いほうが見掛け上独立な流れとなるとの予想を得ているが,解析が終わり次第発表する予定である. なお,本研究と平行して進められている浸透交代作用の研究においても,局所平衡からは説明されない現象が認識され,先の学会で発表した.また,本研究に用いた解析テクニックを応用して,変成作用の時間を見積る方法を検討し,1993年度三鉱学会で報告した.
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