Research Abstract |
変動帯の層状マンガン鉱床の初期生成鉱物からなる縞状鉱石は鉱床形成過程における様々な情報を持つと考えられている。このような鉱石の詳細な検討は、原鉱床の解明にとって重要な意味を持つ。縞状鉱石は、特に西南日本の秩父帯,四万十帯に広く分布するが,本年度は九州(鹿児島,宮崎,大分),四国(高知,愛媛),紀伊半島(三重)に分布する層状鉱床(計13鉱床)の調査を行い多数の試料を収集した。これらについて構造,組織の観察、及び偏光顕微鏡、X線粉末法、EPMAによる分析を行った。その結果、各鉱床とも縞状鉱石は鉱床縁辺帯に分布しており、Braunite+Caryopilite+Quart2を基本的な鉱物組合せとする黒色層と,Hematite+Albite+Calcite+Mg,Na,Ca-Silicates±Quartz組合せの赤褐色層の数〜数10cmの規則的な互層からなることが判明した。Brauniteは粉状,針状,リング状,自形などの様々な形態を持っており,これは同一標本内でも異なることが多く,さらにCaryopiliteと密接に共生している特徴を示す。化学的には黒色層はMnで赤褐色層はFe,Mg,Ca,Na,Alなどの複雑な組成で特徴づけられ,これらは原鉱床形成時の物理的・化学的条件を反映した層と考えられる。最も縞状組織の発達しているのは九州の秩父帯南帯の鉱床群(因尾,垣尾,八代,etc)であり,黒色層のBrauniteとQuartzの境界にはHigh Calcian rhodoniteの生成が認められる。これは広域変成作用により生成したと考えられ,Ca量が著しく多くBustamiteの組成領域にプロットされる。一方,赤褐色層に沿って低変成度の広域変成帯では初めてのFerroan bustamiteが見いだされた。これらは鉱床形成過程の変成条件を反映した変成鉱物層である。
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