Project/Area Number |
05640572
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福村 裕史 大阪大学, 工学部, 講師 (50208980)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | レーザー / アブレーション / 高分子 / 時間分解測定 / 吸収スペクトル / 干渉画像 / 励起状態 / 自由体積 |
Research Abstract |
種々の芳香族化合物を分散させたポリメタクリル酸メチルフィルムを試料として用い、レーザー照射時における過渡種の紫外・可視吸収スペクトル測定を行った。その結果、ビフェニルと弗化ビフェニルにおいては三重項状態が、ピレンとテトラメチルパラフェニレンジアミンにおいては三重項状態とカチオンが高照射光強度下でも主な生成過渡種であることが明かとなった。レーザー波長における過渡透過率測定の実験により、これらの過渡種によるレーザー光の吸収と無輻射過程による緩和が、レーザーパルス幅内の時間内に繰り返し起こることが示唆された。 時間分解干渉画像測定からは、レーザー照射時における表面の盛り上がりがサブマイクロメートルオーダーで検出できた。この表面膨張の減衰速度は高分子フィルムの基板の熱伝導度に依存し、高分子マトリックス自体が極めて高い温度に到達していることが明かとなった。さらに高分子の形態変化に先だって、高分子内部の屈折率の著しい増大が初めて見いだされた。 時間分解ラマン散乱測定においては、レーザー照射部位の位置選択的測定が困難であったため、所期の成果を挙げることができなかった。これに替わって、高分子内部の温度を見積もるため、三重項状態の減衰速度の温度依存性を詳細に検討した。この結果、高分子の自由体積の増加に伴い分子の拡散が起こり易くなること、三重項-三重項失活の速度定数を用いて高分子内部の温度が推定可能であることが示された。表面のエッチングが起こる時には、高分子内部の温度は600K程度に達し、高分子主鎖セグメントあるいは側鎖の運動が激しく起こり、分散分子の拡散が極めて速くなるものと推定された。 以上のように、レーザー照射時の高分子固体の形態変化と分散分子の電子状態をナノ秒の時間分解能により同時測定し、光励起中間体による吸収と緩和の繰り返しが高分子固体を加熱する重要な過程であること、高分子表面の過渡的膨張に対応し高分子固体内の自由体積が著しく増加することが明らかとなった。
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