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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
(1)bicyclo[2.2.2]octene骨格をもつCOTカチオンラジカルおよびジカチオンの新規合成 強固なσ骨格をもつ環状π電子系の典型例として、4個のbicyclo[2.2.2]octene(以後BCOと略記)骨格をもつcyclooctatetraene(COT)(1)の1電子および2電子酸化反応について検討した。 1は溶液中、電解または化学的1電子酸化により安定なカチオンラジカル種1^+を生じることをESRにより確認した。また1電子酸化剤としてNO^+SbCl_6^-を用いることにより、1^+SbCl_6^-塩を安定な暗緑色結晶として単離した。これはCOTのカチオンラジカルが安定に単離された最初の例である。さらにX線結晶解析を行ない、COT環は中性のCOT同様のタブ構造であるがπ共役効果のために結合長の交替が著しく減少していることを明らかにした。 次にこの結晶1^+SbCl_6^-から出発して、SbF_5を用いてさらに1電子酸化することにより、新しい6π電子系芳香族であるジカチオン1^<2+>を発生させ、室温溶液中でスペクトル的に直接観測することに初めて成功した。また低温における動的NMR測定により、1^<2+>が従来予想されていた平面構造ではなく折れ曲がったタブ型構造であることを見い出した。 (2)BCO骨格をもつメタラシクロヘプタトリエン類の合成と動的挙動 BCO3量体の末端2臭化物、Br(BCO)_3Br、の両末端炭素をリチオ化した後 第4a族金属試薬Me_2MCl_2(M=Si,Ge,Sn)と反応させることにより、BCO骨格の縮環した一連のメタラシクロヘプタトリエン類2を合成した。またX線結晶解析により、2(M=Si,Ge,Sn)はいずれもC-M結合長の異なるボート構造をもつことを明らかにした。さらに動的NMRの解析から、M=C,Si,Ge,SnとC-M結合長の増大とともにボート構造の環反転のエネルギー障壁も増大することを見い出した。
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